体調不良で静養中といわれていた日本相撲協会の武蔵川理事長が、実は胃がんの手術を受けていたとスポーツ紙が報じた。今日の臨時理事会で辞任を発表するともいわれており、まさに満身創痍……。
野球賭博事件に武蔵川理事長の弟子が関わったとして、謹慎処分になったのが6月28日。そのあとの名古屋場所は村山理事長代行が仕切ったが、武蔵川理事長は「体調不良で入院」とだけ伝えられていた。
今朝(5日)のスポーツ紙は一斉に「辞任へ」と伝えたが、東京中日スポーツだけが、1面トップで大きく「胃がん」と報じた。6月下旬に精密検査をしたところ、胃がんがみつかり、江東区内の病院で胃の全摘手術を受け、7月下旬に退院したという。
「理事長が辞任の意向」というニュースはきのう関係者に伝わったが、その理由を新聞は、文科相の担当者が「このままでは世論の支持がえられない」と圧力をかけたと伝えたが、健康問題もあったものとみられる。
心身ともにダメージ
武蔵川理事長は08年9月、前の北の湖理事長が弟子の大麻事件などの責任をとって辞任した後をうけて就任したが、朝青龍問題や暴力団幹部の名古屋場所観戦など、不祥事の対応に追われた。さらに、大関琴光喜の賭博疑惑報道から、協会始まって以来の危機に見舞われたが、積極的な解決策を打ち出せなかった。
赤江珠緒キャスター「実際に体調が悪かったということですね」
漫画家で相撲に詳しいやくみつるは、「心身ともにダメージを受けたんでしょうね。外部に委ねた方がいいとは思っていた。これまでのところ、具体策が何も出てないので、ひとつでも2つでも成果を出さないと協会をアピールできない」と言う。
しかし、健康に問題があるとなると理事長を続けることは難しいだろう。
鳥越俊太郎(ジャーナリスト)「1紙だけの報道だが、がんで誤報というのは考えられないから本当でしょう。続けるのはむずかしい。村山さんのもとで改革の見通しをつけて、個人的には、貴乃花さんのような改革派の手で清新なイメージで再出発した方がいいと思う」
相撲が「国技」といわれるようになったのは戦後のことだという。戦前は「興業」だった。そういう目で見ると、「横綱の品格」なんていういい方もどこかずれていたのかもしれない。新しい相撲像を作るには、新しい頭脳が必要なのかもしれない。