改正臓器移植法が7月17日からスタートした。幸運にも渡米して3日目で移植手術を受けた女性、渡米したものの移植直前にわが子を亡くした夫婦…。改正にいたるまでに様々な想いを持った親と子の絆を番組が特集した。
15歳未満の提供も可能に
これまで15歳未満の臓器提供が事実上認められず、海外に活路を見出すしかなかった臓器移植。改正法で15歳未満でも、家族の承諾で移植が可能となった。
その改正臓器移植法のスタートを感慨深く見守った母親がいる。法改正のきっかけをつくった中澤奈美枝(35)。生後10か月で拡張型心筋症と診断された長男の聡太郎の移植を受けるために渡米。検査の結果、移植待機リストの最上位に登録されたが、渡米6日目の朝に容態が急変し亡くなった。
帰国後、母親は法改正を求めて署名運動を行い、国会を動かす契機になった。
改正臓器植法がスタートする2日前の先月15日から、移植医療への理解を深めるための『ギフト・オブ・ライフ』という5日間のイベントが都内で開かれた。
去年、弟から腎臓の提供を受けた歌手の松原のぶえがあいさつに立って次のように語った。
「私たち移植を受けた患者は、大勢の方の力をお借りして生きている気がする」
会場でそれをじっと聞いていた女性がいた。『ギフト・オブ・ライフ』の実行スタッフの1人、小林未央(26)だ。拡張心筋症で7歳の時に周囲に助けられて寄付を集めて渡米、奇跡的に渡米3日目で提供者が現れ移植手術が行われ成功した。
その小林は「普通の生活ができるようになったことがものすごく嬉しかった。しかし、自分が生きているウラには提供者が亡くなっている。私は生きる価値があるんだろうか」と悩んだという。
その答えを探すために大学では心理学を専攻。在学中に友人からの一言で救われた。
「もう(自分を)許してあげてもいいのではないか」
この友人の言葉で、自分を責めていたことに気付いたという。いま小林は製薬会社に勤めながら『ギフト・オブ・ライフ』の活動に全力で取り組んでいる。