先進国で飛び抜けて高い日本の「1~4歳児死亡率」

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成人中心の医療態勢の落とし穴

   では、どうすれば幼い命を救えるのか。小児科医で長野保健所長の田中哲郎医師は次のように語った。

「集約化していくことが必要です。救命救急センターは成人中心に考えられており、勤務する医師も成人中心の先生が多い。子供の診断・治療は苦手で、対応できないのが現実です」

   キャスターの国谷裕子が「集約化とは具体的にどのような意味ですか」と聞いた。

「1人とか2人しか小児科医がいない施設が全国で半分ぐらいあります。そういうところは集中治療がむずかしい。ナースや設備もありませんから、人数を集めてきっちり対応できるよう集約化して集中治療できることが望ましいんですが……」

   田中医師によると、小児ICUを備えた専門病院は各県に一つある必要ない。全国で20施設あればいい。重要なのは医師同士の連携、ドクターヘリなど搬送態勢の整備で、これが実現すれば地域格差もなくせるという。

   「態勢整備がなぜこうも遅れたのか」という国谷の質問に、田中医師はこう指摘した。

「子供を大切にしようという考え方が希薄だったのかもしれません。子供は成人の付属物ということでメインに考えられていなかったのではないでしょうか」

   親による子供の虐待が頻発する現状も含め、知らず知らずに社会全体が「子供は大人の付属物」と考えているとすれば、日本人は根本的に意識を変える必要がある。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2010年7月28日放送「1~4歳『取り残された世代』を救え」)

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