天下り偽装、大新聞批判、高齢セックス…やっぱり独自ネタが面白い

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   菅直人VS.小沢一郎の民主党代表選をめぐる争いは、週刊誌を読む限り、小沢の圧勝になりそうだ。「週刊文春」「週刊新潮」が、菅の対抗馬に「反小沢」の前原誠司国交相を担ぐかもしれないと予測している。「2人を繋ぐキーパーソンがいる。京セラの稲森和夫名誉会長です。彼はかつて前原さんの後援会長でしたし、小沢さんとも幹事長時代からの付き合い」(民主党職員・新潮)。

   菅批判を強める前原と菅憎しの小沢が組む。「小沢一郎は背広を着たゴロツキである」(西部邁著・飛鳥新社)をすぐに読みたくなった。

給料3割増で高級官僚「出向」

   週刊誌の本領は独自ネタである。今週は独自ネタの逸品を紹介しよう。まずは「AERA」の「『偽装出向』で民間天下り」。6月22日に閣議決定された「退職管理基本方針」は、天下りを根絶するために作成されたと思っていたが、実態はまったく逆だったというのだ。

   つまり、天下り規制をすり抜けるために、「中高年の公務員を退職させずに、『現役』の身分のまま、独立行政法人や公益法人に『出向』させたり、民間企業に『派遣』したりする。こうすれば、法律で禁じた退職者の斡旋にならない」

   経産省の古賀茂明氏(54)は、望月晴文事務次官から「肩たたき」を受け、国家公務員の身分を残したまま、大企業へ、期間3年以内で「派遣」で行ってほしいといわれた。しかも、今の俸給より3割増の約2千万円という厚遇でだ。かねてから天下りに反対してきた古賀氏は、これを断ったが、すると次官から「キミは辞めるしかないな」と言われた。

   民間企業に天下り先を広げて、コストはそこへ押しつけようというのだ。官僚政治打破を掲げていたのは、どこの政党だったか。

官僚の意のまま巨大メディア財閥

   「週刊ポスト」は上杉隆氏を起用して、官房機密費がマスコミを汚染していると連続追及しているが、マスコミ、特に大新聞の「抵抗」がすさまじいようで、新情報が出てこなくて苦労しているようだ。

   それならば、まとめて大新聞を叩いてしまえと、大特集「大新聞は国民の敵だ」を組んだ。

   民主党が「消費税10%」を持ち出し、参院選で惨敗したにもかかわらず、大新聞が消費税値上げキャンペーンを張っているのは、財務省の官僚たちが、大新聞やメディアのトップたちに根回しをして、そう書かせているのだと批判する。

   増税派を小躍りさせた「IMF(国際通貨基金)」の「日本は消費税を15%にせよ」という提言も裏があるという。米国に次いで2番目のIMFスポンサーである日本が送り込んでいるIMF職員49人のうち、10数名は財務省からの出向組だから、あの提言は財務省の意向を反映していると推測している。

   日本は、大新聞がテレビ局を系列にして、巨大な「メディア財閥」を作り上げ、民放は新規参入を阻むために、使用していない電波帯域を不当に占拠していると経済学者の池田信夫氏が書く。

   評論家の呉智英氏は新聞ことばが日本語を破壊していると批判し、元共同通信の青木理氏は自分が体験した新聞記者の「甘い日常」を暴露しと、多面的で過激な新聞批判を繰り広げている。

   新聞も政治家と同じように、官僚たちの意のままに動かされていることが、これを読むとよくわかる。これでは権力の監視などとても期待はできない。

ピンク映画バリアフリー化でジイさん元気

   「週刊現代」が始め、多くの週刊誌が真似を始めた高齢者のセックス特集だが、今週は新潮が面白い。「還暦は洟たれ小僧という ピンク映画『バリアフリー』がやってくる!」。サブに「『喜寿卒寿米寿』を大挙動員で朝から満員御礼」とある。

   世界初と謳うピンク映画「エロティック・バリアフリー・ムービー(エロバリ)」が登場したというのだ。何が初かというと、出演した女優たちが副音声で、「あたかももう一人の女性が覗き見しているかのように、『あっ、ここでインサート』とか、『腰を動かします!』などと場面を解説するのです」(宣伝担当者)

   この副音声、本来は視覚障害者のためのものだが、ターゲットは高齢者だというのだ。03年に開館した東中野ポレポレ座は、車椅子で入場できるバリアフリーが売り物だが、ここでは、ピンク映画を午前10時からのモーニングショーで上映している。

   60歳以上は1000円で、家族には散歩だといって出てこられるからと、評判がすこぶるいいのだそうだ。

   AVも熟年というジャンルがあり、12年前は3%ほどだったのに、今は20%近いシェアになり、50歳から70歳の熟女女優を使っていると、制作会社ルビーの門脇龍一社長が語っている。

   1冊1万円の熟女写真集を刊行している富士出版によると、購入者は、50~60代、70代、40代、80代の順に多いそうだ。新潮は「本当に社会がそれ(人間は生涯、性に関心を持つ=筆者注)を認めたとき、バリアフリーのピンク映画は、最大の景気浮揚効果を発揮するに違いない」と結ぶ。昔は「40になったら週刊新潮」が売りだったが、これからは「70超えたら週刊新潮」とでもしますか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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