日本企業が輸出する「気配り・もてなしの接客術」

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ヤマト運輸・中国人社員の試行錯誤

   その上海に今年進出した宅配のヤマト運輸は、料金は競合他社の2倍ほどなのに、取扱量は毎月倍増という伸びだ。社員教育の実際が面白い。アパートのドアをたたき荷物を届ける。帽子をかぶったままだ。指導員が「これじゃ(まだ車に)乗せられないよ。君たちが届けるのは送り主の真心なんだよ」

   基本は守る。しかし、マナー、マニュアルを超えたものを自分たちで考えろという。

   先月、その指導結果が試されることがあった。いま高級スイカの需要が高いが、スイカは割れやすく、マニュアルでは扱わないことになっていた。ところが、中国人社員たちが1か月の試行錯誤の結果、割れないで運ぶ方法をみつけたのだった。

   日本人社員は「上海ヤマトは君たちが引っ張っているんだと伝えることに成功すれば、ついて来てくれます」と言う。どういうサービスが最適かを考えるような社員づくりだと。まさにおもてなしの心か。

   山上教授はこう言う。

「あらためて、日本人自身がもてなしを知っているかと聞かれると不安になる。精神文化の輸出だから、日本でも洗練されないといけない」

   なるほど。日本人にもはね返ってくる問題だ

   そういえば、コンビニ普及の大きな理由のひとつに、「店員と口をきかなくて済む」があった。便利さと安さだけで、もてなしなんてかけらもない。輸出よりも先に、目先を何とかする必要がありそうだ。

ヤンヤン

* NHKクローズアップ現代(2010年7月20日放送「生物資源めぐる世界対立」)

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