秩父・防災ヘリ墜落の原因説「セットリング」って?

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   秩父山中で遭難者を救助中の埼玉県の防災ヘリが墜落した事故で、原因として「セットリング・ウィズ・パワー」というあまり聞いたことのない言葉が出て来た。専門家は「あの場所で起こると避けようがない」という。

   事故が起こったのは1昨日(25日)午前11時ころ。沢を登っていた登山グループの女性(55)が滝壺に転落したと救助要請があった。2人の隊員が地上に降り立つ寸前、ヘリが突然1メートルほど降下して、バリバリと異音を発して急角度で山の斜面に突っ込んだという。登山グループもこれを見ていた。

自分の風に巻き込まれた

   現場は樹木の覆われた狭い沢沿いで、ヘリは上空30メートルでホバリング(停止)状態だった。風もなく、普通では考えられない事故だというが、運輸省の運輸安全委員会が現地を見たあとの会見で、「セットリングの可能性は否定できない」と、この言葉が出た。

   西川渉・ヘリコプター協会元会長は「自分の風にまきこまれる現象で、普通のホバリングでは起こらない」と言うが、現場の沢は深く切れ込んでおり、吹き返しの上昇気流に巻き込まれた可能性はあるとも指摘した。

   原因としては、ほかにも機体の故障とか、ローターが木に触ったとかいろいろ考えられるが、いまのところの手がかりは目撃者の聞いた異音だ。これがなんだったのか。

   司会のみのもんたは「バリバリという音がしたというんですが…」と聞いたが、西川氏は「セットリング・ウィズ・パワーに遭遇した人というのは少ないので、音がそれなのかどうか」と確信が持てない口ぶり。

   セットリングが起こったら、機体を前へ進めて浮力を取り戻すしかないが、安全委員会は「あの場所では対処できなかったと思う」としている。

   山岳救助は気温や高度で状況が変わるので難しい。人命救助の人たちが命を落とすというのは、本来あってはいけないこと。しっかり究明する必要がある。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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