水産庁の「サンマに関する報告書」が北日本漁業経済学会の学会誌に掲載された「論文」と酷似していることが判明、盗作かと騒がれたが、思わぬ方向に話が発展した。
2つの論文は同じグループの手になるものだった。最初に水産庁からの依頼で作成した論文を、学会誌にも出した。盗作ではなかったのだが、出典が明記されていなかった。さら、データに細かい間違いも見つかっている。
どんぶり勘定の調査費使い道
学会は掲載論文を取り消すとともに、作成した大学教授らを厳重注意処分とした。しかし、教授は出典の不備は認めたものの、学会内外から誹謗されたとして先月、東京地裁に学会を名誉毀損で訴えるという変な展開になった。
それよりも、問題は水産庁だ。報告書は同庁が20005、06年に「サンマ漁獲制限量」設定のために行った調査で作成されたもの。教授に依頼したのは日本水産資源保護協会(社団法人)だったが、これは水産総合研究センター(独立行政法人)からの委託業務で、同センターへは水産庁管理課が委託していた。
水産庁は1914万円で委託し、センターは保護協会など4つの機関に945万円で再委託していた。センターには969万円が残り、保護協会には375万円が渡っていた。両団体とも水産庁の外郭団体で、理事長などは水産庁OBだから、話しは天下り団体への丸投げ、利益誘導になってきた。
「朝ズバッ!」の岡安弥生レポーターが、センターに969万円の使い道を聞いたところ、電子辞書3万6750円、パソコンと関連機器・ソフト一式181万6000円など、報告書の作成に必要なものだという。水産庁も「必要であるとなれば購入を認めていた」という。ただ、これらはいずれも口頭での了解で、紙に書いたものはない。報告書にも書籍、コンピューター関連など、大枠とトータルの金額しか記されていなかった。
協会の専務理事(天下り)は「今年はどんな事業をしようかと、私と水産庁の担当者が話したのがきっかけ」と言っていた。はじめから再委託、というより、再委託の側からの話だったというわけだ。水産庁は「OBのいるところに委託するのが普通」と平気な顔をしているが、とにかくあきれたものだ。
みのもんたは「先々に天下りがいることが問題」と言ったが、違うよ、はじめに天下り組織を作っていて、それが生涯賃金の計算にちゃんと入っているんです。