ワールドカップのあと、急病で倒れた父親を見舞うため、チームを離れひとりブラジルに渡っていた日本代表のDF田中マルクス鬪莉王(29)が、きのう(15日)、名古屋グランパスエイトに合流した。
その会見でみんなが驚いた。「父親のパウロ隆二さん(57)の看病のために、引退しようかと思った」と言ったのだ。
逆に励まされて日本に戻ってきた
「あんなに弱ったお父さんを見たのは初めてだったので、非常にショックだった。その時は、もうサッカーをやめて家族を見守っていこうと考えた」
その父親に逆に励まされて戻ってきたという。
隆二さんはワールドカップの大会中も、ブラジルでテレビカメラに向かって「鬪莉王は自分の夢だけでなく、家族の夢もかなえてくれた」などと答えていた。カメルーン戦での勝利で、周囲の人たちと抱き合って喜ぶ姿があった。
ところが、デンマーク戦で日本が勝ち、決勝トーナメント進出を決めた直後に倒れた。心臓病だという。鬪莉王はそのとき、「その日にでもブラジルに帰り、顔を見たいと思った。でも、お父さんは絶対に最後まで戦って来いと言ったはず」と言う。
引退に触れたときのことを、鬪莉王はこう話す。
「お父さんがしゃべり出して、『それじゃダメだ。半端な気持ちで終わらすな』という言葉をいただいたので、もう1回頑張ってみようと思いました。
プロとしてやりたいこともあるし、サッカーを愛するみなさんに失礼のないようなプレーができるかどうか、確かめたい」
司会のみのもんた「ファンに失礼のないようにって、男だねぇ」
高畑百合子アナ「明日の大宮戦から始まります」
みの「いやあ、鬪莉王にはあと4年がんばってもらわないと。あのヘディングとディフェンスがないと日本はだめですよ」
16歳でブラジルを離れてサッカー一筋でやってきた鬪莉王が、家族のためとはいえ引退というのはわからない。パラグアイ戦のあと、「やり尽くした 引退も」という記事がスポーツ紙に出てもいた。
名古屋へ移ったのも、浦和から「戦力外通告」を受けてのこと。それが日本代表というのも、考えてみれば奇妙な話だ。まだ語られない何かがあるのもしれない。ちょっと気になる。