参院選で蓮舫行政刷新相が早々と当選を決め、事業仕分けに対する国民の期待の大きさを浮き彫りにしたが、地方自治体でも税金のムダ遣いをなくそうと「市民仕分け」の動きが広がっている。
もともと事業仕分けは、8年前に岐阜県で始まったものだが、行政に詳しいNPOのメンバーが仕分け人になって広がり、現在は49自治体で行われている。「とくダネ!」はこのうちの一つ、鎌倉市でこのほど行われた事業仕分けを取材した。
65歳以上対象だが利用率9・8%
鎌倉市の仕分け人は公募で選ばれた市民。仕分けの対象に30の事業を選び、先週10日、3つの会場で仕分けが行われた。会場の一つに、大勢の高齢者が集まっていた。手にしたプラカードには「高齢者の生きがい、楽しみを奪わないで」の文字。仕分けの対象になった「高齢者入浴助成事業」の存続を求めるデモで、8000人の署名も集めたという。
この助成事業は、市内の65歳以上の高齢者を対象に、450円の銭湯代が150円で利用できる制度。年間予算は1700万円という。ところが、市側の資料では市内5つの銭湯を利用しているのは対象者のわずか9.8%。
いよいよ事業仕分けが始まり、さっそく鋭い質問が飛ぶ。
「9.8%と利用者が少ないのは、一つの地域(大船)に銭湯が集中している立地に問題がある」
「5つの銭湯の事業を(助成制度は)かなりのレベルで支えている。これがないと銭湯の売り上げは3分の2に落ちてしまう」
「『生きがい』を題目にして、銭湯の経営者に実質補助しているのでは……。助成制度のスキームに原因がある」
結局、仕分け評価は「不要」の結論を出した。市では今後、市民アンケートを実施、その結果も含めて、改めて検討し最終決定を出すという。
スタジオでは、女優の高木美保が「私は応援します」と次のような理由でエールを送った。
「えらい政治家に握手をもらっただけで1票を入れてしまうことにならないように、ちゃんと政策を見て1票を入れる。(市民仕分けは)その基本になるような気がします」
税金のムダ遣いの排除が中央から地方へとさらに広がれば、政府も消費税増税の前にもっと力を入れざるを得なくなる。