「ホームレスキューのパパットさん」コーナーで、中高年に被害が急増している『ほめほめ商法』を取り上げた。狙われているのは、300万人にのぼるという俳句や短歌、書道などの愛好者。
趣味とはいえ、作品は自分の分身ともいえる大事なもの。ほめほめ商法はその熱い思いに付け込む巧妙な手口で、詐欺スレスレの商法から完全な詐欺まで多岐にわたっている。
狙われる俳句、短歌、書道の愛好者
短歌が趣味という都内台東区に住む女性(68)もだまされた。ある日、自宅に1本の電話がかかってきた。出ると男性の声で次のように話す。
「あなたの作品は変わっていてとても面白い。雑誌に作品を掲載しませんか。著名な先生があなたの作品をとても評価していて、雑誌で論評したいとのことなんですが、またとないチャンスと思いますよ」
こうほめたあと、雑誌の掲載料6万1000円を請求されて支払ったという。雑誌には掲載されたが、著名な先生の論評はなかった。
この女性は「腹は立ちましたが、私がバカだったと思うしかありません」とため息をつく。
似たような被害は、俳句や書道の愛好家の間にも広がっていて、まったく掲載なしの悪質なものも多い。国民生活センターによると、こうした「ほめほめ商法」の被害届は、06年はわずか8件だったのが、07年には49件、08年150件、09年356件と急増している。
雑誌に掲載したいとカネ要求
では、こうした連絡先をどうやって知るのか。『パパットさん』が向かったのは日本短歌協会。そこの「短歌年鑑」と開くと、所属する会の会員氏名、住所、生年月日がずらりと書かれている。甲村秀雄事務局長はこう話す。
「歌をつくっている一般の人たちは、ほめめられると天にも昇る気持ちになります。歌は人格そのものですから、熱心な人ほど騙されやすい」
詐欺商法に詳しい宇都宮健児弁護士は次のように警告する。
「いろんな役割の人間が登場する劇場型詐欺や振り込め詐欺に酷似していますね。片っ端からそういうことを言っては、掲載料を払わせるようなことを組織的、常習的にやっているなら、詐欺罪が成立する可能性があります。法外な掲載料なら契約無効を主張できます。ただ、時間と手間がかかりますね」
被害にあわないようにするにはどうすればいいか。
宇都宮弁護士は「まず契約前に家族や第三者に相談することだ」という。キャスターの小倉智昭は「自分の作品の評価をしてほしいと思う人はたくさんいるでしょうからねえ」と。