視聴者を口実にするNHK
小倉はテレビが家庭に普及していない子供のころ、「小銭を持って蕎麦店に駆け込み、かけそば一杯で3時間ねばって中継を見た」と話す。
番組にゲスト出演した東京相撲記者クラブ会友の大見信昭も、「やるとばかり思っていた。戦後、大勝負や名勝負がありましたが、それもNHK の中継と一体となって生まれた。それがなくなるので、ちょっとした大事件ですね」と残念そう。
しかし、米国生まれのタレント、デーブ・スペクターは冷淡だ。
「NHKは視聴者のせいにして、便利に利用している。放送媒体としての決断のほうを先行すべきでないか。ダイジェストを6時台に放送するのはずるい。中継しないという説得力がズレてきませんか」
一理あるが、前田忠明(芸能ジャーナリスト)のような相撲ファンもいる。
「今後、全部ダイジェストになっちゃうんじゃないか。そういう懸念がある」
無期限中止になるか再開されるかは、相撲界が改革へ真剣に取り組むかどうかにかかっているが、嵐が通り過ぎるのを首をすくめて待っている印象が強い。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト