番組は「今さら聞けない消費税」と題して、2~4日に1000人を対象にインターネットで行ったアンケート調査の結果を取り上げた。
アンケート調査といっても、「消費税に関し疑問に思っていることは」という問いに、寄せられた疑問のベスト5に順番に答えただけ。多かった疑問は(1)消費税の前に無駄をなくせ(2)使い道が分からない(3)一律課税しないでほしい(4)なぜ消費税なのか(5)10%の根拠は――というものだ。
中央大学法科大学院の森信茂樹教授がスタジオでこれ答えたが、このセンセイは景気回復の芽を摘んだと悪評高い橋本内閣の消費税増税(3%→5%)の時の大蔵省主税局の担当課長。しかも、事業仕分け第2弾の仕分け人というから、番組の意図が何となく透けて見える。
なぜ税率10%なの
まず、森信は5%に引き上げた前回の増税と今回を比べ、「あの時は減税を先行してやっている。今回は減税がほとんどありませんから条件はまずますキツイですね」と他人事のように言う。
消費税率10%に疑問を持っているかと聞かれると、やはりそこは元大蔵官僚だ、こう評価した。
「選挙の時はこれまで減税論議が多かった。消費税10%の議論を吹っ掛けたのは立派だなと個人的には思う」
「なぜ消費税なのか」というアンケートの疑問に、森信は税収をゴルフクラブにたとえて説明した。飛距離を稼ぐドライバーは所得税、目標地点に着実に刻めるアイアンは消費税、グリーン上で球を転がしカップに入れるパターは資産税。低所得者に負担がのしかかる逆進性はあるが、公平性と安定性から消費税、つまりアイアンで刻んでいくのがいいという。
「使い道が分からない」「10%の根拠は」については、森信は次のように説明した。
「消費税5%(税収12兆1000億円)のうち、5兆3000億円は地方自治体に行き、残った6兆8000億円が基礎年金や老人医療、介護に使われている。
しかし、社会保障分野の歳出は16兆6000億円で、不足する10兆円を赤字国債などでまかなっており、10%の根拠はこの10兆円が目安になっている」
1番疑問の多かった「消費税の前に無駄をなくせ」についても、「私も事業仕分け人をやったが、いくら切っても数十億円の単位、オーダー10兆円規模からいえば足りない」と強調した。
分かりやすく説明したのはいいが、肝心の「一律課税はしないでほしい」はなぜか素通りだった。