米国では10億ドルの経済効果
国谷は「プロボノが広がる背景には、仕事のやりがいが見えにくい現実がある」と言い、スタジオゲストの田坂広志(多摩大学大学院教授)はこう解説した。
「かつては、働きがい、働く喜びという言葉が当たり前に使われた。ここ20年は、生き残り、勝ち残り、サバイバルだ。殺伐とした職場の文化が生まれている。プロボノは、若い人たちの、時代のあり方に対する無言の抗議の声だ」
一方では、プロボノに参加する社員が成功体験を獲得して自信を持ち、仕事へのモチベーションを高める場合も多いらしい。企業にはありがたいことである。企業によっては、人材育成を目的にプロボノ活動を拡大し始めているところもあるようだ。これについて田坂は、「そもそもは仕事の場で働く喜びを感じさせるべきで、外の動きで置き換えることはできない。プロボノを利用して社員のモチベーションを高めようとするのは筋が違う」と注意を喚起する。そして、企業とNPOが互いに影響を与えあって社会変革に取り組んで行く時代が始まるだろう、と期待を込めた。
アメリカでは政府が企業のプロボノ活動を奨励、大手企業がプロボノ支援を加速し、3年間で10億ドルを超す経済効果が見込まれているという。なにやら菅政権が政策課題に取り入れそうなトレンドではあるまいか。