日本相撲協会が28日の臨時理事会で、名古屋場所を予定通り7月11日から開くことを決めた。野球賭博に関与した親方と力士の処分も特別調査委員会の勧告通り受け入れ、4日の臨時理事会で正式に決めるという。
週刊誌の「告発記事」で始まった賭博問題。野球賭博の実態はほとんど究明されないまま、「厳重注意」の甘い言葉につられて自己申告した親方、力士の処分だけ。初めから名古屋場所開催ありきで、自らの自浄作用を発揮することなく幕引きというわけか。
ケジメついていない暴力団との関係
コメンテーターの竹田圭吾(ニューズウイーク日本語版編集長)も次のように批判する。
「億単位の(暴力団の)資金源に相撲界がなっていたということのほうが大問題で、それをどうやって根絶して再出発するのか。プラス、問題発覚後も真摯に対応してこなかった協会の運営体制をどう変えるのかもっとちゃんとする必要がある」
これに応じてキャスターの小倉智昭も「どこまで深刻か、(協会は)いまだに分かっていないようですね」
そんな世間の批判などどこ吹く風、「これが相撲界の流儀」と言わんばかりの世間離れした一幕が、28日の臨時理事会後の記者会見であった。番組が流したVTRのその一部始終は…。
会見冒頭、特別委員会の伊藤滋座長が、『ひな壇』の前に陣取って撮影していた報道カメラマンに向かって、「申し訳ないけどカメラが目障りで、いないとしゃべりやすいんですけど。カメラが目障りなんですけど」と言い出した。
それでも撮影を続けるカメラマンに、武蔵川理事長が怒気を含んだ声でこういう。
「(会見を)止めるよ、そういうことするんだったら、やらないよ。そういうことして撮影するんだったら!」
撮影は冒頭だけにしてほしいと言えば済むものを「目障りだ」というのもおかしな発言だが、こともあろうに騒動の当事者の理事長が「そんなことするんだったら止めるよ」とは暴言。理事長失格だ。
スタジオで小倉も怒った。
「僕が記者会見に出ていたら、武蔵川理事長に怒っていましたよ。ご自分の立場が分かっていない。大勢の相撲ファンや心配している国民向けての記者会見でしょ。よくみんな黙っていたね」
相撲界の『駄々児発言』では済まされまい。報道機関全体が侮辱されたと言っても過言でないと思う。