「ほっとけない」コーナーが、またまた妙なものを掘り出した。名古屋市が17年前に7400万円で購入した美術作品が、誰の目にも触れず、木箱に梱包されたまま駐車場の片隅に放置されていた。
発端は、市職員を名乗る人からの「市民経済局が保管する美術工芸品を調べてほしい」という市民オンブズマンへの通報。。市が10数年前に購入したが、1度も公開されていないのだという。市民オンブズマンが情報公開請求をしたところ、美品出納簿のリストに1行、購入期日と作品の名前、金額が記されているだけだった。17年前、彫刻「砂漠の泉」7416万円とあった。これが展示もされていないとはどういうことだ?
グランプリ受賞作品
「朝ズバッ!」が調べたところ、名古屋国際会議場にあることがわかって、岡安弥生アナが訪ねた。コンサートやイベントに使われる施設だが、内部に多くの美術品が飾られている。「しぼり絵」30~40万円、VIP用の部屋の「油絵」2000万円などと職員が案内する。
「一番高いものは?」
「『砂漠の泉』というものです」
「どこにあるんですか」
「地下の倉庫で保管しています」
岡安が案内されていった先は、倉庫ではなく駐車場だった。しかも、ただ置かれているだけ。相当な数の木箱があって、「木箱から出して組み立てるものです」と市は説明する。
「砂漠の泉」は第2回名古屋国際ビエンナーレ・アーテック'91でグランプリを受賞した作品だった。数多くの部品を暗い部屋に設置すると、人の動きや音に反応して、ストロボが光ったりパイプが動いたりするのだという。
しかし、市の担当者は「資料は5年前までしかないので」詳細はわからないという。岡安が当時を知る人を訪ね、「デザインセンター」計画の最初の収蔵品ということだったらしいとわかった。国際デザインセンターは、都心の商業施設の中にあったが、展示に必要な5メートル×5メートル×5メートルというスペースがとれなかったため、展示されなかったらしい。現在の担当者は「今となっては確かなことはわかりません」と言うばかり。