中国に負けたくない! 愛国青年えなりかずきの『憂国』

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「あんなに人がいたらしょうがねーじゃん」

   一方、えなりと同じ芸能人でも、お笑いタレントカンニング竹山の考え方は、柔軟というか即物的で現金である。

「結局、中国にやられるのが怖いって話でしょ? (中国に)あんなに人がいたらしょうがねーじゃん、ってのもあるし」
「中国に負けてもしょうがない、と?」

   不服そうなえなりに、「どうせ喰われるんだから、方向性を変えて中国とうまくやっていくようにしないと」と竹山は言う。しかし、「脇役」に甘んじて生きていくニッポンなど、えなりには容認できないかもだ。

   えなりの父親ほど(あるいはそれ以上)の歳の俳優、秋野太作は、自分と日本を重ね合わせて考える。

「日本は僕、中国はえなりくん。(えなりくんは)これから伸び盛りなんだよ。僕みたいなのが成熟しちゃって、『さて、これからどうしようか』ってのが日本だから」
「競争してるからには、世界一を目指しますよ」

   国会も終盤戦に入ると、中国にも比される日の出の俳優はあらためて力強く宣言し、敗北主義を退けた。ハタから見てるとなかなか気づかないが、えなりは大いなる情熱を秘めた男だったのだ。今夜のえなりは、少なくともあのドラマの役などから受ける印象よりは、はるかに力強く、血気盛んな有為の愛国青年に見えた。それにしても、えなりが自分の職業の競争において、どんな世界一を目指しているのかは、依然として見当もつかないナゾではある。

ボンド柳生

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