迷っている。週刊誌を読めば読むほどわからなくなる。鳩山・小沢ダブル辞任で誕生した菅直人新政権は、本当に小沢時代の終焉なんだろうか。
新内閣でも、仙谷官房長官、枝野幹事長は反小沢派なのだそうだから、小沢と距離を置いたといってもいいのかもしれない。その証拠に、枝野と小沢の引き継ぎはたった3分間で終わった。
しかし、親小沢派と見られている細野豪志氏を副幹事長に据え、代表選で菅氏と競って、小沢派が投票した樽床伸二氏を国対委員長にしたのは、小沢氏に対する配慮ではないのか。
週刊誌も見方は二分されているが、小沢一郎の終焉と見るのは少数派である。鳩山氏が小沢の独断専行政治に切れて、最後の最後に、小沢を道連れにして「抱き合い心中」し、それを予想していなかった小沢は、菅の対抗馬さえ立てられずに、政権中枢から切って捨てられたのだというのが、「現代」「フライデー」の見方だ。
参院選後に「政界の殺処分」
「文春」は鳩山との抱き合い心中を持ちかけたのは小沢のほうだったが、小沢の誤算は、鳩山がすべて菅に話し、菅氏側から政権を担うなら「非小沢でやりたい」と条件を出され、これによって小沢のシナリオは崩れてしまったと読む。また、政治コラムニスト後藤謙次氏の「小沢一郎かく敗れたり」では、小沢の豪腕伝説は終章へ向かっていると切り捨てている。
だが、すべては小沢の仕組んだ「永田町爆弾」で、参院選挙に勝つために、乾坤一擲、小沢は自らが爆弾となり炸裂させたと読む上杉隆氏の巻頭レポートを始め、小沢は新闇将軍となって、参議院選後に「政界の殺処分」を始めるとする「ポスト」、「小沢支配は終わらない」(AERA)、「菅新総理 小沢一郎にひれ伏した時!」(アサヒ芸能)、「屈辱の暴君『小沢一郎前幹事長』がこのまま黙るわけがない」(新潮)と、小沢氏の力は十分残っていると読む週刊誌が多いようだ。
どちらなのだろうか。私は、小沢氏が最年少自民党幹事長になったときから、20年ぐらいウオッチしてきているので、新潮の以下のような見方が腑に落ちるのだ。
「小沢さんの頭には、かつてヤミ献金問題で国会議員を辞めた後に、脱税で逮捕された金丸信のトラウマがあるはず。だからこそ、政治権力を保持し続けることに執念を燃やすでしょう」(花岡信昭拓殖大学大学院教授)
酒好き、議論好き…菅の豪快奧さん伸子インタビュー
今週の多くの週刊誌が、菅新政権になって参議院選がどう変わるのかを予測しているが、「毎日」の「民主40議席割れで30日天下、政界再編」という読みが多い。
新聞は世論調査で民主党への支持率が60%台後半へV字回復したのを理由に、参議院選は民主党が勝つと予測しているようだが、社民党の連立離脱、郵政改革法案の見送りによる亀井静香国民新党との不協和音まで出てきて、そう読み通りにはいくまい。小沢を巡る永田町三国志、まだまだ一波乱ありそうだ。
これ以外の今週のお薦め記事。鳩山氏の幸夫人とはひと味もふた味も違う、菅直人新総理夫人・伸子さん。1歳年上の姉さん女房で、酒好きで、政治についての議論が大好き。選挙の応援もやれば、夫を、ウチでは2番手といって憚らない豪快な奥さんのインタビュー「総理なんて全然似合わないよ」(朝日)。
日本人のほとんどが勝てっこないと思っている南アのサッカーWCだが、そんななかで、オシム前代表監督が「日本代表はまだ勝てる」と文春でエールを送っている。すべてはカメルーン戦にあると檄を飛ばす。
「日本サッカーの未来を守るために、自分の持っている能力をすべて出し切る。すべての試合を人生最後の試合のつもりでプレーする。W杯で戦う、とはつまりそういうことなのだ」
この言葉が選手たちに届くだろうか。