一時は楽観的な見方も出ていた宮崎の口蹄疫が、9日、最大の産地である都城市に飛び火したことで、東国原宮崎県知事も「ショックです。頭の中が真っ白になった」という。県東部の感染も日向、宮崎両市に広がった。
各県とも臨戦態勢
都城市では口蹄疫の感染確認を待たずに殺処分に入り、きのう(10日)までに3頭がみつかった農場の208頭全部を処分した。周辺の農場も戦々恐々。畜産農家は「国が悪いし、県もマニュアルがなかった」と嘆く。
きのうはまた、最初に発生した川南町からの拡散とみられる感染が、日向市で牛3頭、宮崎市で豚3頭が確認され、1600頭が殺処分されることになった。
さらに、都城からの移動禁止、搬出禁止の区域は、隣の鹿児島県にまでかかるため、鹿児島県側も臨戦体制だ。伊藤祐一郎鹿児島県知事は、宮崎との物流を規制するという強行手段も検討している。
東京農工大の白井淳資教授はこう言う。
「処分が間に合わずに火種が残っていたものが、外に出てしまった。その前には収束かという風にみられていたのだが」
みの「あれだけ消毒しているのに?」
白井「都城は家畜の数が多いのと、大きな食肉処理場があるために、いろんな家畜が集まる」
一番の感染の経路は家畜だという。感染していても、症状が出ていなければ移動禁止区域以外なら移動できる。先に解除になったえびの市などでも安心はできず、下手をすると九州一円ということも考えられると教授はいう。
ではどうしたらいいか。白井教授は「いち早く殺処分。それと豚に感染させないこと。豚は数が多いし、ウイルスもたくさん出すから」という。
気になったのは、現地で陣頭指揮を執る篠原隆農水副大臣の発言。「ムダな殺処分は行わない」と言っていた。イギリスではそうした対応で2001年、645万頭処分にまで拡大した。その後できたマニュアルでは、感染していない家畜も処分することになった。これで07年の発生で押さえ込みに成功したのだが……。