小沢前幹事長の「功罪」は、民主党内で秤にかけられることもなく、「罪」の部分が強調されて、とうとう「悪者」になってしまった。7日開かれた両院議員総会で、司会者が小沢を慰労する場面もあったが、本人は欠席。小沢降ろしを「今さら聞きたくない」というわけだろうか。
政策通の優等生
46歳という若さで小沢の後の幹事長に抜擢された枝野幸男が就任のあいさつで、「党の運営に当たりましては、徹底した透明化というものを進めてまいりたいと思っているところでございます」と、小沢路線を否定した。
番組がその枝野の素顔を取り上げた。栃木県出身で、「西」に偏重している党内要職では珍しく、東北大法学部を卒業し、翌年に司法試験合格。29歳で日本新党から衆議院選に出馬して初当選している。
薬害エイズ問題では菅と一緒に問題の真相解明に尽力した。その後、民主党結成に参加し、行政刷新大臣などの要職につき活躍した。
まさに優等生という感じだが、優秀さだけで幹事長職が務まるのか。双肩にのしかかってくる「重み」は、政党助成金173億円の管理から党内人事、国会対策、陳情処理、選挙の際の公認権、比例名簿の決定……。
キャスターの小倉智昭「幹事長といえば政党の要。政党にはベテランも猛者いますから、若い人がまとめるのには苦労もあるんでしょうね」
これに政治アナリストの伊藤惇夫が厳しい見方をした。
「政策通でもあるし弁舌もさわやかで優秀な政治家。一方、経験不足で党の経験はほとんどない。幹事長は調整能力が大事。
とくに与党の幹事長は実質上ナンバー1。代表は内閣に行ってしまいますから、全部、幹事長の判断で動く。枝野さんは論破力はあるが、必要な説得力は…。そのバランスが取れるかどうかが問題」
取りあえずは、間近に迫る参院選がその試金石になる。
小倉が「小沢さんが仕切ってきて、ほぼ話ができている。枝野さんに変わってすんなりやれるかどうか。その通りやっても批判が出るでしょうし……」と問題提起をする。
これに伊藤は「おそらく、かなりの方針変更はあるだろうと思う。複数区に立候補者を複数擁立したところの見直しとか…。たぶん小沢さんから引き継ぎはなかったと思う」と見ている。
このため、これまで小沢が積み上げてきた組織型の選挙も断絶となる可能性があるという。場合によっては、小沢が先頭に立って政界再編の大騒ぎが再び起こることになるかもしれない。