民主党の菅直人新首相が誕生した。これを受けて4、5両日に共同通信が行った世論調査では「期待する」が57.6%(前回19.9%)とV字回復した。
まだ判断するには早すぎると思うが、菅が出馬会見で小沢幹事長について語った「しばらくは静かにして頂いた方が…」の言葉が、「脱小沢」と好感を持って受け取られたのだろう。
そこで注目されるのは内閣と党の人事だ。はたして「脱小沢人事」になっているかどうか。ここに焦点を当て番組が取り上げた。
ここまでやらないと参院選勝てない
首相指名を受けた翌5日、菅は仙谷、枝野と民主党本部に終日こもり、人事構想を練った。午後11時まで及び、官邸に戻った菅が会見でこの日決めた人事を明らかにした。
要となる官房長官に仙谷、幹事長に枝野、国対委員長には代表のポストを争った樽床に決まった。また、閣僚人事では、空白となった財務相に副大臣の野田が昇格、行政刷新担当相に事業仕分けで名を馳せた蓮舫が内定した。あとはほとんど再任だ。
このほか、党人事では復活される政調会長に玄葉光一郎、選対委員長に安住淳、幹事長代理に副幹事長の細野豪志が昇格した。
いずれも小沢とは距離を置く人ばかり。とくに小沢が実権を握っていた幹事長の後任に、非小沢の急先鋒だった枝野が就任することになったことで脱小沢が鮮明になった。
取材した長谷川豊リポーターが「『親小沢』は原口総務相ぐらいしかいない。かなり一方的な人事といえます」と報告した。
それでも半信半疑なのか、キャスターの小倉智昭は「(脱小沢の)一方的な人事と見ていいんですか」と、ゲスト出演の田崎史郎・時事通信記者に判断を求めた。
田崎「一方的というのはちょっとアレですけど、『脱小沢』を極限まで進めた人事ですね。官房長官と幹事長で政府の実権の6、7割は握ってしまう。そこに仙谷さん、(非小沢)急先鋒の枝野さんを置いたのは大きい」。
小倉「これは明らかに参院選対策と見ていいでしょうね」
田崎「参院選は『脱小沢』でないと勝てない。『脱小沢』を決めることが参院選勝利への近道という判断だ。菅さんは気負けしないでどんどんやっていくと思う。菅さんは現実主義者。小沢さんとやりあえるのは菅さんだけ。鳩山さんとはちょっと違う」
その小沢は4日、地元の岩手で行われた県連のパーティーで次のようにビデオメッセージで語った。
「参議院の選挙に勝利して政権を安定したものにし、初めて本当の意味で改革が実行できます。私は、その時に自分自身先頭に立って頑張ってまいりたい」
9月の代表選へ向けた反撃ののろしかどうかは分からないが、小沢再登場を許すかどうかは、菅政権が山積する課題をどう処理するかにかかっているといえそうだ。