「取材予定の会社」電話に出ん、HPも中断…エッ、自己破産!?

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「プルルルル、プルルルル、プルルルル・・・・」

   もう何度電話していることだろう。でも、聞こえてくるのは呼び出し音ばかり。ある情報系番組で取材許可を頂いた企業の電話が、いっこうに出ない。全員が出席しなくてはいけない会議なんだろうか。たとえそうだとしても、1人ぐらいは電話対応にいるはずだがそれも出ない。時間を空けてかけ直しても、結果は同じ。

   ちょっとした席空けだとしても、長時間誰も電話に出ないってどういうこと? 取材日について確認の電話をしていたのだが、こうも電話対応がないとおかしい。会社設立記念日で全社員休みなのか、何か情報が出ていないかと思いネットで検索してみる。すると、表示された先方のホームページは、『中断しており申し訳ございません』。味もそっけもない。おかしいを通り越して、これは怪しい。他に情報がないかと探していたところ、「あっ・・・」思わず声をあげてしまった。

   出てきたのは倒産情報サイト。先方は自己破産申請中で事業を停止していた。負債総額は十数億円。事業停止はわずか1日前。まさかとは思ったが悪い予感が的中した。

   番組で取材しようとしていたのは、先方が運営するサービスの体験取材だった。事前に担当者と話した際、取材日のスケジュールは6月にならないと出ない言われ、約束通りに月を改めて連絡したところ、なんと倒産していた。度々の電話でも、スケジュールの話になるといつも歯切れが悪くなる先方の対応が気になっていたものの、特殊なサービスだからしょうがないのだろうと、いい解釈をしていた自分が情けない。

   すぐにプロデューサーに事情を説明し、別の企画を立て直す旨を伝える。取材先が事業停止という初めての経験に、今後の番組内での諸々の対応を想像して少々興奮気味の私に、プロデューサーは「取材したもののオンエア前に倒産するパターンじゃなくて、よかったな」となだめるように一言かけてくれた。

この業界でも給料未払い、突然倒産なんて日常茶飯事

「で、あの会社まだあるの?」

   今やこんな台詞が日常会話に出てくるようになったのだろうか・・・。

   先日、ある番組の打ち上げと、番組から卒業するADの送別会を兼ねて開催された飲み会でのこと。ADクンに対して、有名作家がこうたずねた。ADクンの転職先は、小さな制作会社。以前携わった番組を作っていた制作会社の、そのまた下請けの会社のプロデューサーに泣きついて決めたらしい。番組予算削減のしわ寄せを第一に受ける制作会社。このご時世、大手制作会社でも厳しい状況が続き、制作会社から独立して立ち上げた弱小組は、大苦戦を強いられている。業界撤退も少なくなく、星の数ほどある制作会社が今日もどこかで看板を下ろしているのが現状だ。それも社員や出演者、技術会社への不払いや社長の横領などが日常茶飯事。以前同じ番組で仕事をした作家にも、半年間給料未払いというブラック会社に所属していた女性がいた。彼女はその後、別会社に就職し今も番組制作に励んでいるが、未払いはどうなったのだろうか・・・

   前述の取材先の負債総額とは比較にならないが、それでも倒産は倒産。ADクンの転職先の会社は荒波をかいくぐっているようでホッとしたが、安心はしていられない。

   そして、明日は我が身。まだまだ続く不況の波、ウカウカしていられない。

モジョっこ

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