黒字は4空港だけ。収支も人件費も公表しない自治体運営空港のデタラメ

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バッシング恐れて赤字ウヤムヤ

   番組は「国や県が地域の交通機関の将来戦略を考えずに、タテ割りで整備してきた結果だ」と指摘する。問題はこれだけで済まなくなってきた。経営再建を目指す日本航空が国内30の不採算路線のリストラを発表したことから、主要収入源の定期路線を失う空港すら出てきた。

   さらに追い打ちをかけるように、国交省が「地方空港に手厚く資金を配分してきた特別会計の仕組みがムダを生んできた」として、今後は主要空港に資金を集中させる計画を打ち出した。年間50億円規模の地方空港への補助金が減額される可能性が高まってきたのだ。

   秋田県だけの問題ではなく赤字空港を抱える自治体は、赤字を覆い隠しながら、税金を注ぎ込むことはもはや不可能な時代になってきている。

   それにしても、自治体は地方空港の収支報告をなぜ公にしてこなかったのか。国谷キャスターの「(住民が)情報なきままに判断させられてきたことがすごく問題ですね」に、番組に出演した関西学院大学の上村敏之教授は次のように指摘した。

「公にするとほとんどの場合、赤字なのでバッシングを受ける。それが嫌で積極的に公にしなかった。今後は、赤字をどうやってコントロールするかが大事で、住民に情報公開し、緊張を持って運営する体制を整えていくことも必要だ。
   もう一つは空港を担当する職員はいろんな分野にかかわっていて、空港業務の人件費を集約するのがすごく難しい。国も地方空港の収支状況とか財務状況を積極的に把握しようとしてこなかったのも問題だ。
   効率的な空港にできるかどうかはコストを意識させることにあるが、そのチェックができない。これからは他空港と比較できるように、経理のフォーマットを決め、一定の書式のもとで収支の計算ができるような制度にすることが必要だ」

   空港は1例に過ぎない。他にも情報を非公開にしたまま、税金を湯水のごとく公共的なインフラに注ぎ込んできたケースは多いという。

*NHKクローズアップ現代(2010年5月26日放送「地方空港明らかになる『危機』」

モンブラン

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