国民が刑事裁判に参加する裁判員制度がスタートして、21日で1年が経過した。番組では、この制度が日本の裁判にどんな変化をもたらしたのか、裁判員経験者のインタビューを交え取り上げた。
経験者「充実感あった」
この1年間で制度の対象になった裁判員裁判は1881件で、2565人が裁判員を経験し、530人が判決を言い渡され、全員が有罪だった。
裁判員経験者を対象に最高裁が行ったアンケート調査によると、裁判員になる前の印象では、「やりたくなかった」「あまりやりたくなかった」が55.7%と過半数を超えていた。しかし、経験後の印象では「非常に良い経験と感じた」「良い経験と感じた」が96.7%と、ほぼ全員が経験したことについてプラスに評価した。
番組がインタビューした経験者も、「終わった後すごく疲れたと感じたが、ふだん経験できないことを経験して充実感があった」(40歳の男性会社員)、「専業主婦でずっとやってきたが、いい人生勉強させていただいた」(68歳の主婦) 、「難しい言葉もなく理解できた」(68歳の主婦)など、真摯に取り組んだ姿が浮かび上がった。
一方、量刑が重くなるという変化も見られた。最高裁の調べでは、従来の裁判官裁判では「11年以下の懲役」が一番多かったのに対し、裁判員裁判では「17年以下の懲役」が最も多かった。
量刑が重くなる傾向について、番組コメンテーターの田中喜代重弁護士は「裁判員は、被害者の立場を自分の身に置き換えて受け止める傾向があり、こうなったのだろう」と分析。 ただ、この1年に死刑求刑事件や無罪主張事件は対象になかった。これからは対象となる可能性もある。
読売新聞の元社会部記者の大谷昭宏は「私も裁判員を取材したことがある。裁判所の努力もあったでしょうが、日本人の勤勉さと真摯な態度に感心した。これからが本番だが、冤罪を主張する被告を裁くということは大変」と語った。