「目には青葉山ほととぎす初鰹」
江戸の俳人・山口素堂の句だが、今が旬の初ガツオに異変が起きているという話題を取り上げた。
初ガツオとは、1月ごろインドネシア沖の中西部太平洋で育ったカツオが北上をはじめ、黒潮に乗って5月ごろ紀伊半島沖に到着するカツオをいう。勇壮なカツオの一本釣りが見られるのも今ごろだが、それが冴えない事態に陥っているという。
それを確かめようと、番組スタッフが土佐の一本釣り漁船に乗り込んで密着取材した。
「一網打尽」で幼魚も
午後9時、高知の佐賀漁港を出発した漁船は、翌朝7時に和歌山県潮岬沖に到着。漁師たちはいよいよ仕事と張り切ったが、いっこうにカツオの群れが見つからず、この日は釣果なし。
やむを得ず3日目は、マリアナ沖から北上してくるカツオの群れを求めて八丈島沖に釣場を変えた。これが大当たりで、次々とカツオの群れに魚群探知機が反応、この日だけで24トンのカツオを釣り上げた。ただ、例年だとこのくらい水揚げは普通だという。
なぜカツオがとれなくなったのか。カツオが産卵から成魚になるまでを過ごす中西部太平洋で、近年、中国資本などの漁船がまき網漁法で、幼魚も含め乱獲をしているためだといわれている。
魚には脳の発達に重要な役割を果たすDHA、血液中のコレステロールを低下させるEPAが含まれ、優れた食品であることが世界の人々に分かってきて、需要が急増していることがあるらしい。
しかし、網で幼魚ごと根こそぎとる漁法に強い疑問の声が上がった。キャスターの赤江珠緒が「モナコでマグロにしたように、日本もカツオに対して(規制を)」と言うと、ジャーナリストの大谷昭宏も「自然の恵みを自分のものだけにする権利は誰にもない」と怒った。
長年にわたり、水産資源を研究している政策研究大学院大学の小松正之教授は「国や漁船に対し、漁獲量の制限をするIQ(個別漁獲割当て)の導入を急ぐべきだ」と指摘している。
これまで、多くの漁業交渉で日本は規制に反対と主張してきただけに、逆に規制を求めるのはためらいがあるのか、水産庁の対応はどうも遅いようだ。