キムタクに華やかさがなくてどうする! このままじゃ「月並みドラマ」で終わってしまう

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<月の恋人(フジテレビ系月曜)>木村拓哉にとって、「月9ドラマ」は2年ぶり、ラブストーリーは10年ぶりなのだそうだ。それだけにスタッフや出演者たちの意気込みはハンパじゃなく、上海ロケや共演陣なども映画並みの豪華さだし、番組宣伝も初回放送直後の「SMAP×SMAP」でスペシャルを組むなど、『メンツにかけて数字をたたき出す』という執念みたいなものすら感じさせる。実際、10日の初回放送は視聴率22・4%を叩き出した。

おとぎ話でいい

   お話はインテリアメーカーやり手社長のキムタクに、篠原涼子のデザイナー、中国人のリン・チーリン、カリスマ人気モデルの北川景子がからむラブロマンスで、キムタクのイメージを最優先に作ったドラマだ。

   丹念におカネをかけてしっかり作られている。関係者にしてみれば「いまどき、これ以上のものをどうやって作れというのか」というぐらいの気持ちだろうが、私は「月9」としては期待はずれだった。キムタクが中途半端に大人っぽくなっちゃって、華やかさがないのだ。キムタクの魅力はたぐいまれな美貌と動きのスピード感なのに、それがちっとも印象として残らないから、男と女の愛憎がどう展開していくのか、少しもワクワクしないのである。いまのところ、イケメンが出てくる「月並みのドラマ」の域を出ていないと思う。

   華やかさに欠ける理由は、キムタク社長が中国の工場閉鎖に伴う労働争議に直面したりする、妙に現実的なエピソードが入り込んでくるからかもしれない。おとぎ話はおとぎ話として完結してしまってもよかったのではないか。

   新しい発見もあった。キムタク社長の部下で、中国人やり手社員役の松田翔太の存在感、リン・チーリンの新鮮さだ。この2人はこれからが楽しみ。あと、私的にはリン・チーリンに上海で日本語を教える老人役の高橋昌也がうれしかった。怪異な容貌、人生の深淵を見てしまったような語り口……いい味を出していた。

   ドラマそのものは、期待されているほど盛り上がらず、大きな話題にはならないのではないかと見ている。

      月と月が  重なるドラマ  ツキもあり

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