<テレビウォッチ> 開幕まで1か月を切ったサッカーワールドカップ南アフリカ大会――。今週10日には日本代表の23人が発表された。この日の午後のテレビ局はこれ一色。サッカーについちゃちょっとうるさいオヤジを自認している私も、固唾を飲んで見ていたが、その顔ぶれにはまったくのところ拍子抜けしてしまった。
なぜ使わない石川や前田らの若手
3番手キーパーに川口能活が選ばれたのがサプライズなのだそうだが、川口は1年半近くも日本代表から遠ざかり、今季も昨年9月に負った右脛骨折で公式戦に1度も出場していない。どれだけ働けるか、いや、まともにプレーができるのかさえ危ういのに、限られた枠を『配給』したことに、逆の意味で驚いてしまった。
岡田監督が川口を起用した狙いは、「裏のリーダー」としてやってもらいたいということなのだろう。前回のW杯では日本選手が3グループぐらいに割れてしまい、1勝もできなかったため、今回は川口をまとめ役に「チーム一丸」を演出しようということなのだ。
無理もない。あえて言えば、岡田はオシムの代理であって、選手は岡田に信頼感を持っていない。岡田自身もそのことはわかっているから、選手の中にコーチを置くような川口起用をせざるを得なかったのだ。しかし、それは戦力外の選手が1人入っているということで、それだけチーム力は落ちてしまう。
他の顔ぶれについても、若手があまりにも少ない。最近のサッカーは90分間を走って走って走りまくるようなゲームになっている。しかも、南アフリカ大会は半数以上の試合が標高1000メートル以上の会場で行われ、カメルーン戦が行われるブルームフォンテーンは海抜1400メートルにある。もう、スタミナの勝負で、30歳代が7人もいるチームでは、後半の20分は立ったままの選手が続出しかねない。
やはり、ここは90分走りきれる若い選手を選んでほしかった。たとえば、FC東京の石川直宏、ジュビロ磐田の前田遼一といった選手だ。1次リーグの対戦相手であるカメルーン、オランダ、デンマークはいずれもすごく強く、若手をそろえても通用するものではないかもしれないが、だからこそ南ア大会の次の大会でがんばるような選手に経験を積ませてほしかった。バランスばかりを優先したこの代表では、残念ながら1次リーグ3敗、あるいは2敗1分がせいぜいではないだろうか。
いらないの 川口大久保 岡田監督