米軍普天間基地の移設先として浮上している鹿児島県徳之島。その徳之島で突破口でも見出したのか、12日に平野官房長官が初めて現地入りし、徳之島町議5人と会談した。ただ、鳩山政権として本気で説得しようとしているのか、『5月決着』引き延ばしへ向けた環境づくりのポーズなのか、いまひとつはっきりしない。
いちばん大きな建設会社
番組では官房長官の現地入りを取り上げ、その狙いを探った。
鳩山首相は12日の会見で「無理に私どもの方から行ったわけではない」と、本気の説得ではなさそうな言いわけをした。
そうなると徳之島町議からの要請となるのだが、島あげての絶対反対のなかで、移設賛成をこの段階で唱えるのは相当な勇気がいるはずだが、どんな人たちなのか。
会談に臨んだ5人の町議のひとり、池山富良町議は「国にいろんな要望をする場合には、ある程度国の声も聞いて、答えを出した方がいいのかなと思う者の一人です」と語った。 つまり、国が要望を飲んでくれるなら賛成してもいいと受け取れる発言だ。その辺の事情をある島民は次のように説明した。
「徳之島でいちばん大きい建設会社が徳之島町にあって、ここは移設に賛成なんだよ。ここの影響力は強くて、定数16人の徳之島町議のうち6人は押えている。官邸サイドは、会談には議会半数に届く8人に出席してほしいと言っていたから、後の2人の多数派工作は間違いなくやっていただろうな」
かつて徳之島は衆院選挙で島を二分する激しい対決があったが、移設反対で結束してきた島民が、いずれ激しく対立するのではと懸念する声が広がっているという。
もっとも、会談は目立った成果はなし。記者の「具体的な訓練内容や移転の規模については」 の問いに、平野長官は「それは申し上げておりません」。「振興策などの説明は」にも「それもしておりません。今日は島民の真意を聞かせて頂きました。大変厳しいということを…」。
スタジオでは、テレ朝コメンテーターの三反園訓が「5月末決着は難しくなったので、一生懸命やっていることを示すための環境整備の一環かなと私は見ている」と妥当な見方を示すと、ジャーナリストの鳥越俊太郎も「移設先として言われているのは天城町のほうで、徳之島町は海兵隊の部隊が来て、基地ができるなどの被害があるわけではない。一方、官邸が突破口を見つけられるのは徳之島町と思うのも不思議でない」と指摘する。
何かやっているうちに5月末の期限は切れる。その時また言い訳を考えればいいというわけか。「5月末決着を変えるつもりはない」と言っていた鳩山首相、12日には「5月末までに私としてはできる限りのことはします」とトーンダウンしてきた。