「委員長、おかしいですよ、おかしい」と小泉進次郎議員が叫ぶ。きのう12日、公務員制度改革法案が審議された衆院内閣委員会で、採決に入った委員長への抗議だった。しかし、法案は民主党の多数で強行可決された。
親譲りの口達者
自民党はこの日の最後の質問者に、唯一絵になる男、小泉進次を立てた。民主党が昨年の総選挙のマニフェストで「国家公務員の総人件費を2割カット」としている点を取り上げ、小泉は「大臣、副大臣の給与返納はいまのところ10%.。政務官には手を付けてない」と、痛いところを突く。
平野官房長官は「できるだけ早く対処したい」と逃げ腰で、小泉は追い討ちをかけた。
「できるだけ早くというのは信憑性がない。時期をハッキリさせよ。鳩山政権は何度も先送りだ。普天間だって……」
口達者は親譲りだ。
しかし、よく考えれば、公務員制度改革は自民党がやらなかったもの。民主党がマニフェストでうたった線より後退したのを、自民が「不十分だ」と突っ込んでいるのだからややこしい。
小泉は質問時間が過ぎてもなお、「この法案をいま通さなければならない理由はない」と食い下がったが、委員長は質疑打ち切り、採決には入ったため、冒頭の「おかしい発言」になった。
政権交代でこういう場面での攻守が変わっても、様態は変わらずだ。小泉は「(鳩山内閣では)天下り根絶は無理だったということ。(採決強行は)これを認めず終えたかったということで、ひとつの法案をおろそかにして、普天間を片付けられるとは思えない」と捨て台詞をはく。
コメンテーターの本村健太郎(弁護士)が「狙いはいいんだが、結局、支出は増えちゃった」
テリー伊藤も「支援団体である労組を削れなかったということでしょう」
それはその通りだが、この法案採決という出来事は、この日のニュースとしてはマイナーもいいところ。動きとしては大きいはずの「小沢幹事長の政倫審出席へ」は番組になかったし、平野官房長官と徳之島の議員との会談も「ニュースフロアから」で片付けてしまった。それよりは「絵になる小泉」というわけだ。政治もエンタメ視点でみるとシンプルになる。