迷走している米軍普天間基地の移設問題。『5月末決着』の期限が刻々と迫ってきたが、案の定というか閣内から「5月末決着を断念し、交渉継続」の声が出てきた。この意に従ったかどうかは定かでないが、鳩山首相が新たな『妥協案』を出してきた。
沖縄、徳之島にも動き
番組が取り上げた新たな妥協案とは…。
1つ目は、訓練場の一部を徳之島のほか、本土の自衛隊基地に移設・分散する案。
2つ目は、沖縄県の鳥島と久米島にある射爆撃場の返還案。
3つ目は、沖縄本島の東側に広がる海上訓練区域の一部返還案。
陸・海・空域で米軍の占領状態になっている沖縄全体の負担をセットで軽減し、地元の納得を得ようというものだが、最も危険とされる米軍普天間基地の移設をどうするかはこの案には入っていない。
一方、崖っぷちの鳩山政権を見かねたのか、県内移設反対で対峙していた沖縄や鹿児島県・徳之島に新たな動きも出てきた。
仲井真沖縄県知事が上京し、10日に前原沖縄対策担当相と会談したのに続いて、11日には平野官房長官、北沢防衛相とも会談した。
仲井真知事は、いずれも「よもやま話」「フワッとした意見交換の域を出ていない」と中身については言葉を濁しているが、タイムリミットが迫っている時期だけに、『よもやま話』をするために上京したとは思えない。
また、「政府の考えを聞いても答えは変わらない」と強く移設反対を唱えていた徳之島の3町長のうち、徳之島町の高岡町長が「政府の考えを聞く姿勢は大事と思う」(9日)と発言、変化の兆しも見える。この発言が受け入れ了解のサインとは思えないが、平野官房長官が12日、徳之島町の町議8人と会談するという。町長の頭越しに議員と会談するのもどうかと思うが……。
テレ朝コメンテーターの三反園訓のこんな意見を述べる。
「結局、この3案しかないんだろうと思う。ただ、肝心の普天間基地をどうするかがはっきりしない。一番危険な普天間は先送りし、それ以外で参院選を乗り切ろうという思いのようだが、それでいいのかどうか」
それやこれや、水面下でジワリと動きが出てきた移設問題だが、先の3案を巡って風穴があき始めたのかどうか、疑問点が多い。