夏の参院選比例区擁立をめぐって、各党が知名度のあるスポーツ選手や歌手、女優をスカウトする動きが慌ただしい。民主党にスカウトされた「ヤワラちゃん」の愛称で親しまれている柔道の谷亮子(34)もその一人。正式に立候補表明した10日の記者会見の模様を番組が取り上げた。
衆院1年生議員と扱いに違い
小沢幹事長と輿石参院議員会長の間に挟まれた谷は、よどむことなく次のように決意を語った。
「3月に国政に携わってみてはどうかという話があり、4月下旬に決断しました」
そして、語調を強め「(柔道の)現役をもちろん続けます。ロンドン・オリンピックで金メダルを目指します」と議員と柔道の両立を宣言した。
スタジオでは、キャスターの赤江珠緒の「堂々とされていましたね」に、取材したリポーターの所太郎が「報道陣が100人以上、一番堂に入っていたのが谷さん。あの落ち着きはすごい」と感嘆の声をあげた。
しかし、他のコメンテーターの反応は違っていた。まず元検事で弁護士の大澤孝征は…
「奥さんやって、議員やって、オリンピックで金メダル取りたいという志はすごいことで、評価できる。しかし、そんなことで議員が務まるのかなという気がするし、またそういう認識なのかなとも…。
声をかける方も、議員ってこの程度だからオリンピックに出て金メダル狙えということになったのか。現状見ていると、できないことはないなという気もしますが、議員って簡単にいろんなことを両立できる職務なのか、正直いってどうか」
作家の若一光司も「一年生議員が事業仕分け人に指名される話があった時、小沢さんは『一年生議員はまだ早い。地元を回って下積みの勉強を』と言っていた。一方、谷さんは金メダル目指しても構わない。この扱いの違いは何なのか」と疑問を呈した。
もはや、なりふり構っていられないのが支持率急落中の民主党。その辺の事情をテレビ朝日コメンテーターの三反園訓は、「比例票が『みんなの党』にドンドン上積みされている。最大の目玉の谷さんを何とか獲得できて、小沢さんの顔は相当嬉しそうだった」と語る。
ただ、谷と同じ福岡県人というジャーナリストの鳥越俊太郎は、「谷さんは04年の記者会見で、スポーツ省をつくり、大臣になりたいと言っていた。政治に対する気持ちは本気だとして、私は個人的にはロンドン五輪は止めた方がいいと思う」という感想だ。
たしかに、二兎を追えば結局、柔道も政治も泣かず飛ばずに終わる可能性が目に見えている。ここには合わせ技はない。スパッと1本を決めるべきなのかも。