玉川徹リポーターが現地に出かけ、フランスの「ハコモノ行政とは!」を取り上げたが、紹介された建物・施設はハコモノ行政というより、日本とは違う美観を重視したフランス・パリの都市づくり。キャスターの赤江珠緒は「がっくりきますね~」と溜息をもらした。
パリの歴史的公共事業
年間7400万人(2009年)の観光客が訪れるというフランス。その観光客を惹きつけるパリの街並みはいま、春の観光シーズン真っ盛りだ。
玉川がそのパリで注目したのが、パリの中心を東西に延びるシャンゼリゼ大通りの一本の軸。この直線の中心部に位置するのが、12世紀に要塞として建設され、その後、歴代国王が宮殿として使っていた『ルーブル美術館』だ。18世紀に作られた『コンコルド広場』、その先には19世紀にナポレオンが造らせた『凱旋門』がある。そして20世紀に新たに建設されたオフィス街『ラ・デファンス』の象徴である『新凱旋門』。
ここまでなら調和のとれた歴史的なハコモノが並ぶパリの観光案内だが、玉川は『ラ・デファンス』の開発に携わった都市計画の専門家、フランソワ・ヴェイユに「日本を見てどう思いますか?」と質問をぶつけた。
返ってきた答えは「無秩序」。そして次のように言う。
「東京はパリのように秩序を意識した街並みになっていないでしょう。日本文化を少し学びましたが、生け花や茶道といった調和の精神があったはず。それなのに日本の都市には調和の精神が見られないことは驚きでしたね」
さらに、玉川が「必要な建物を造るというより、景気刺激のためにおカネをハコモノづくりに使う日本のやり方をどう思うか」と問うとーー。
「日本でそういうことが行われていることは知っていたが、建物を作るのは、収益が見込めるのかどうかか大前提。フランスではなんでもいいから作るというのはあり得ない。日本はおカネがあり過ぎるんですね~」
最後のきつい皮肉に、赤江が「(お金)ないんですけど~」。
週刊朝日編集長の山口一臣は「日本の飛行場がいい例。飛行場が必要だから造るんじゃなくて、造るという工事が必要だから造っている」と指摘。
番組の冒頭では、ネズミの住みかになっている閉鎖された『しごと館』などに触れていたが、今後は一定規模のハコモノを作るときは、厳しく計画段階からチェックする法律が必要なのではないか。