三谷幸喜ドラマ 「偉人いじり」は遊びすぎ

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<わが家の歴史>フジテレビの開局50周年特別企画「わが家の歴史」。三谷幸喜脚本で3夜連続のスペシャルドラマ。ホームドラマで笑えて、という触れ込みで、三谷本人を含め事前の番宣から頑張っていた。

ホームドラマ?

   なんといってもキャストが豪華だった。それぞれがCMに出ているクラスの人たちで、彼ら彼女らがCMに連動するというのは、スポンサー探しに困っている局としては、実にありがたい新しい手法だったろう。口説きやすかったはずだ。

   ただ看板とは裏腹に、これはホームドラマではなかった。ある一家を軸にしているのは間違いないが、昭和の出来事をからめたドキュメント風ドラマとでも呼ぶべきものだった。昭和の有名人らがどんどん出てくる。遠藤周作、丸山(美輪)明宏、将棋棋士升田幸三、力道山、永井荷風……。升田と将棋をさすなど、主人公一家たちが彼らと絡むのだが、これは遊びが過ぎた。

   テレビに遊び心が大切なのは言うまでもないが、一線というものがある。オーバーランしてしまった。モデルとなったご本人たちに対するリスペクトが感じられず、好き勝手にいじっていた印象だ。遊びの道具にしてしまった。信憑性がまったく感じられず、荒唐無稽、あり得ない展開で笑えなかった。電波は公共のものなので、あまりに手前勝手になりすぎてはいけない。

   視聴率は、3日平均で20%強と大勝利だった。西田敏行らベテラン勢だけでなく、小栗旬や相武紗季ら若手も出ていたので若い人たちも見たのかもしれないが、「昭和の有名人」ネタは意味が分からなかったのではないだろうか。エノケン(榎本健一)や古川ロッパとか言われても、誰それ? という感じだったろう。数字が良かった、だから良かった、で済ましてはいけない内容だったと思う。

   悪のりが過ぎたようで、いつもの三谷幸喜的笑いはどこかへ飛んでしまった。とっちらかった印象でホームドラマにもなり得ていなかった。がっかりだ。キャストの豪華さだけが目立った。<テレビウォッチ>

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