小沢一郎の元筆頭秘書 新潮で始めた連載の破壊力(下)

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   (から続く)雑誌不況の中、現代が部数を伸ばしている。その理由は、読者を50代から団塊世代に絞ったことと、年寄りのセックス特集を毎号載せていることにあると、私は推測する。

   今週号の「熟年SEX講座 男たちの恐怖『中折れ』に勝つ」にはこうある。「中折れは、勃起自体はするが、いざSEXしようとすると駄目になってしまう、あるいは挿入はできるが途中で萎えてしまい、最終的には射精にまで至らないことを指します」(横浜市立みなと赤十字病院泌尿器科部長、岩崎晧医師・現代)

セックス企画と遊び心

   その恐怖に勝つために、ED薬バイアグラを薦めたり、「ノン・エレクト法」を薦めたりする。

   これは「勃ってはいけない」と考える方法だというのだ。「まず男性器の根元を自分でぎゅっとつかみます。しごくのではなく、握ったり離したりして軽くマッサージをしてください。(中略)男性器に手を当てることで、自慰行為の気持ち良さを思い出し、リラックスできるはずです。そうしたら、女性器の中に少しだけ入れます。入れる深さは1㎝でもかまいません」(ゆうメンタルクリニック院長ゆうきゅう医師・同)。40代、50代からSEXやマスターベーションで勃たせる訓練をしておけば、65歳になっても性機能が衰えないと、懇切丁寧に教えてくれているのだ。

   これまでの企画を眺めても、「80歳からのSEX」「死ぬまでSEX」とあるから、読者設定は驚くほど高い。しかも、SEXの対象は、長年連れ添った妻だというのだ。

   こうしたSEX特集が受けていると、他誌も真似を始めているが、現代ほどにはうまくいっていないようだ。その理由は、長年現代が培ってきた読者層にある。真面目で働き蜂のようなサラリーマンだが、ときどきは人知れずヘア・ヌードグラビアや、風俗記事を読んで、遊び心を満足させたい。そのとき、実話や大衆は手を出しづらいが、現代やポストなら、大まじめな政治や経済記事があるから、手に取りやすいという、気弱で心優しい読者たちが多いのだ。

   世の中がどう変化しても、食欲と性欲は商売になる。現代がそれを立証してくれている。

「パパが大変」

   ついに、小沢一郎幹事長が一番怖れている、元筆頭秘書の高橋嘉信氏が口を開いた。これまでも少しはしゃべっていたが、今週から、新潮で連載を始めたのだ。

   第1回は「小沢一郎が倒れた朝」。1991年6月29日朝、小沢の妻・和子から「パパが大変」という電話があった。駆けつけてみると、

「寝室では、小沢が布団の上で胡座をかき、両手の甲を膝の上に乗せていました。顔は少し上を向き、弱々しく空を見つめ、苦悶していた。顔面は蒼白で、息も絶え絶えの様子。私は小沢の顔を見て、『あ、これはまずい』と思い、即座に、『心臓発作だ』と直感しました」

   当時は、ペルシャ湾に自衛隊を派遣させようと奔走するも失敗し、都知事選挙に磯村尚徳氏を無理矢理擁立するが、これも失敗して、精神的に追い詰められている時期だった。

   小沢事務所は29日夕方、「軽い狭心症」と発表するが、本当の病状は「心筋梗塞」で、もう少し処置が遅かったら危なかったと担当の医師は告げた。

   43日間の入院生活の後、退院するが、小沢の首にはロケットが下げられ、そのなかにはニトログリセリンが入っているという。常に権力の中心にいることを欲し、その一方では、心筋梗塞の再発を恐れる小沢は、朝日によれば、「衆参ダブル選挙で自民党を殲滅」する作戦を立てているそうだ。

   小沢の野望を潰えさせるのは、突然の病かもしれない。そのためにも、何が何でもこの夏の参議院選挙は勝たなければならない。小沢の顔を見ていると、その執念は日増しに強くなってきているようだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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