<テレビウォッチ> タイの首都バンコクで、現首相の退陣と議会の解散を求める赤シャツの反政府デモ隊と治安部隊が衝突、巻き込まれた日本人ジャーナリストが死亡した。ロイター通信のカメラマン、村本博之さん(43)である。またしてもカメラマンが犠牲になった。
「長引く」との予想も
小倉智昭が「タイでは、政変、クーデターが多いが、今までは大事に至らなかった。今回21人の死者が出る結果になったのはなぜか」と尋ねた相手は、赤木攻(大阪外国語大学名誉教授)。「都心のど真ん中、東京でいえば銀座みたいなところをデモ隊が占拠したので、観光客や経済に対する影響が大きくなった。何とかしてくれという要求が強く出て、治安部隊が強硬な態度に出たのでは」と赤木は答える。
赤木によると、1990年代、経済発展したタイでは、それによって利益を得た人と疎外された人に格差が生じた。貧困層に向けた対策を立て、低所得者層などの支持を得て、政権についたのがタクシン元首相。だが、タクシン政権は、その手法が独裁的、金権的だったこともあって、官僚、軍人、資本家、都市中間層などの反発を受け、その座を追われる。それ以降、赤シャツのタクシン派と黄色いシャツの反タクシン派が抗争を繰り返してきた。
小倉が「黄色と赤色の対立は劇画的ですよね、」と、柴門ふみ(漫画家)に振る。タイの観光地、パタヤ、プーケットに行ったことがあるという紫門は「元々、タイは仏教を篤く信仰する国で、殺生や争いを嫌う国民性のはず。早く落ち着いて平和な国になってほしい」と述べた。が、赤木は「今回の騒ぎは長引く」と予想する。
タイには7、8万人の日本人が住み、年間120万人の日本人観光客が訪れるそうだ。両国の経済関係への影響は少なくないかもしれない。