<こころの遺伝子>NHKの新番組「こころの遺伝子 あなたがいたから」。西田敏行と黒崎めぐみアナの司会だ。初回ゲストは、俳優の三國連太郎。87歳。恩師の映画監督木下恵介から受け継いだものを紹介した。
役名が芸名に
復員後ぶらぶらしていた三國は、木下監督にスカウトされ、いきなり主役に抜擢される。「善魔」という作品で、記者役を務め、以降役名だった「三國連太郎」を芸名とした。当時、えらく格好良い役者だな、と思った記憶がある。撮影時にNGを連発しても監督は見守っていた。そんな監督から引き継いだ精神は「好きなようにやれ」だった。その後、三國は映画会社間の協定を破って他社作品に出た。すると元の会社入り口に、犬猫と三國連太郎は入るべからず、と看板を掲げられたらしい。
三國は、約20年続いた「釣りバカ日誌」シリーズやマルサの女2など数々の作品への出演だけでなく、「親鸞 白い道」などの監督としても知られる。今でも役者は足腰が大切だ、と杖をつきながらの散歩を欠かさないそうだ。そのバイタリティや精神力はすごい。曲げない、という姿勢を貫いている。一方で、ものをつくるというのは、孤独な作業だなとも感じた。木下監督から受け継いだ精神は、三國の息子で役者の佐藤浩市へ引き継がれていくと思う。
番組としても、しっかり取材していて良い作品に仕上がっていた。タイトル、企画ともに良しだ。視聴率は取れないかもしれないが、こういう正攻法の番組には好感がもてる。<テレビウォッチ>
NGが 勲章になる 杖の道