中国の死刑事情
中国で、日中国交回復以来初めて、日本人死刑囚の死刑が執行されたことが話題になっているが、新潮は、「本誌インタビューに応じていた 中国『日本人死刑第一号』のピカレスク一代」を掲載している。
時期はちと古く、03年3月だが、その男、武田輝夫(67歳)は、編集部に電話をかけてきて、インタビュー要請をしたというのだ。
02年、夏から秋にかけて、武田は中国人ら約30人を従えて、全国で数億円を強奪したとして逮捕状を出されたが、すぐに武田たちは中国に高飛びした。
インタビューは、上海から福建省の福州へ向かう寝台列車でだった。自分の「ワル」だった人生を振り返り、「刑務所に入っては出ての繰り返し。刑務所生活が長くなれば、更正するどころか、犯罪者同士で知恵を授け合って、たいていは悪事に長けていくものなんです」と語っている。取材中は、日本から呼び寄せたボディーガードが付き添っていたが、それに、「あれは持ってきたのか」と尋ねる。それは覚せい剤ならぬ永谷園の「お茶づけ海苔」だった。いつか日本へ帰りたいとの望郷の念断ちがたかったらしい。
それから1年3か月後に武田は、逃亡先のホテルで、3.1キロもの覚せい剤を所持していたところを中国当局に拘束される。07年8月に死刑が確定。
文春によれば、中国でも公開処刑は珍しくなり、今はこうするという。
「死刑囚は執行ベッドの上で固定され、左腕の血管に注射針を刺され、黒い布を載せられる。強い麻酔薬と呼吸抑制剤を透明の管を通じて死刑囚の体に流し込む。心拍と脈拍が停止したら、医師が検査して死亡を宣告する。計百二十秒で執行が終わる」(ジャーナリスト城山秀巳氏)
武田の下にいた赤野光信死刑囚が6日に、初めて死刑執行され、この武田ら3人も、9日には処刑されるだろうと報じられている。
他の今週のお奨め記事は、かつては「がんばれタブチクン」という人気マンガにもなった元阪神の名選手、田淵と17年もの愛人関係だった女性が告白している「ミスタータイガース田淵幸一『愛人とキス写真』『200枚のラブレター』一挙公開」(ポスト)。セックス依存症で注目を集めるタイガー・ウッズが、マスターズに出ると大きな話題だが、出場よりも依存症治療を優先させなさいと叱る「タイガー・ウッズ『禁断のチョーお下劣セックス・インタビュー』」(文春)。中曽根康弘大勲位をホストに起用して、業界からは首を傾げられている毎日だが、今回の渡部恒三元衆院副議長との「小沢一郎談義」はおもしろい。「渡部:鳩山は小沢君の応援で党代表になったから、姑に仕える頼りない嫁のように見られているけれど、もう小沢離れするときだ」
「中曽根:田中君(角栄元総理=筆者注)と小沢君とではスケールが違うね。田中君のほうが大きい。外国人まで抱擁して、言動や気迫で大物だと感じさせる資質がありました」
しかし、この大勲位、問題になっている日米の核密約については、「はっきり覚えてない」とボケを決め込むなど、たいした斑呆けぶりも発揮している。