「最高裁自らが…」
経緯はこうだ。事件当時、現場で使われた毒物として奥西死刑囚が持っていた農薬『ニッカリンT』が犯行に使われたとされた。しかし当時、製造されていた奥西死刑囚の持っていた『ニッカリンT 』と同じメーカーの製品を弁護団側がさがし再鑑定してところ、ブドウ酒に混入していた毒物の成分にない特定成分が含まれていて、水などには分解しないことが分かった。
つまり『凶器』が違う可能性が高まったのだ。7次目の再審請求の際に、この『新証拠』を受けて名古屋高裁は一旦、再審決定と死刑の執行停止を決定したのだが、同高裁の別の裁判官が検察側の異議申し立てを認め、ズサンな審理で再審開始を取り消してしまった。
鳥越は「最高裁がここまで言うなら最高裁自ら判断して再審をやることもできた。名古屋高裁でどういう判断が出るか分からないが、どちらの判断が出ても、弁護側が改めて特別抗告をやり、また最高裁に戻ってくる。それが何時になるか分からないが、時間がかかり過ぎる」と。
足利事件で冤罪が確定した菅家利和さんは「私は無期懲役だったが、無期懲役でも辛かった。奥西さんは死刑ですよ」と。死を待つことの耐えがたさは言語に絶するだろう。それが冤罪だったらなおさらだ。
文
モンブラン