<テレビウォッチ>麻薬密輸の罪により中国で死刑が確定している日本人死刑囚(65)が今日(4月6日)、死刑が執行された。日中国交正常化いらい日本人では初めてとなる。放送時点では「執行予定」だった。
執行年数千人
他に日本人3人がやはり麻薬密輸の罪で死刑が確定しており、少し厳しすぎるのではないかという声の中で、小木逸平アナが中国の死刑の実態を取り上げた。
国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、中国では死刑執行の数を公表していないが、2008年は1718人、09年は数千人にのぼるという。
やたらと多いが、それでも死刑執行方法に変化が見られるという。もとは銃殺刑だったのが最近は薬物注射に切り替わっている。具体的には麻酔を注射した後、青酸カリを注射するのだという。
ただ、奇異に感じたのは、番組が映像で流した中国初の『薬物注射用死刑執行車』。巡回バスみたいな死刑執行車で全国各地を執行して回るということなのか……
車内には手術用ベッドみたいなのが置かれているだけの簡単なもの。罪人といえども命を奪うことに代わりはなく、これではあまりに事務的すぎないか……
「恣意的に運用」
で、その死刑に当たる罪だが、作家の若一光司が博覧強記ぶりを。
「日本では死刑に該当する罪は18ぐらいしかないが、中国は70を超える。業務上横領や文化財を盗んだりすると窃盗でも死刑になるケースがある。どのケースで死刑を適用するかは非常に恣意的に運用され、そこに大きな問題がある。一方で、主に政治犯に適用されているのだが、執行猶予付き死刑もある。いずれにしろ非公開ということもあり、冤罪のケースがいくらもある」
この70を超える死刑適用の罪のなかに麻薬所持が含まれるのだが弁護士の大澤孝征は
「麻薬厳罰には、半植民地のきっかけとなったアヘン戦争が背景にある。麻薬は国家を危うくする本質を持っているという観念があり不思議ではない」
と。
中国事情に詳しいジャーナリストによると、その中国で今、麻薬中毒になる人が非常に多く大問題になっており、抑止の意味で厳罰にしているという。
観光で中国へ行ったらバッグの中に麻薬があり、知らぬ間に運び屋に利用され死刑になるとしたら浮かばれない。