彼はなぜ社長の座を捨てたのか 日本人の忘れ物と戦争

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<シューシャインボーイ>テレビ東京の開局45周年記念ドラマスペシャル。「戦争孤児から一代で会社を築き上げた男と、新宿の靴磨きとの絆を通して、戦後を生きた人々の思いを描く」作品だ。

西田敏行らが好演

   原作は浅田次郎、脚本鎌田敏夫、監督石橋冠、という手練れが集まった。出演は西田敏行が食品会社の社長役。柳葉敏郎は、元銀行マンで今は社長西田の運転手をしている。西田の妻役は星由里子、安田成美は柳葉の妻役。ほかにバーの女主人役として余貴美子、靴磨きの老人に大滝秀治。大滝は、実は戦争孤児となった西田の父親代わりをしていたという設定だ。

   西田演じる社長の原風景は、焼け野原になり何もない東京だ。当時4、5才だったのだろうか。以降一生懸命に働いて金持ちになる。競走馬の馬主にもなり、その馬が題名のシューシャインボーイだ。西田は大滝に一緒に住まないかと持ちかけるが、大滝は断って立ち去ってしまう。結局西田は柳葉に社長職を譲り、靴磨きになるという展開だった。

   日本人が戦後の何もないところからやがて物質的に豊かになったのだが、何か忘れものをしているのではないか、という心の問題にメスを入れている。哲学的なテーマかもしれないが、理屈っぽくならないようにテンポ良く展開させており、面白い作品に仕上がっていた。

   出演者の数は少ないのだが、スタッフを含めしかるべきメンツをそろえれば、ちゃんとしたドラマになる、という見本のような作品だ。完成度が高く説得力があった。西田をはじめ厚みのある演技で、開局記念ドラマにふさわしい出来だった。21時からの2時強もので視聴率は12.2%。テレビ東京としては良い数字で殊勲賞ものだ。(テレビウォッチ

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