<木下部長とボク>本題に入る前に、前回取り上げた長谷川等伯もの「主流派の牙城を崩せ 戦国絵師に学ぶ闘志」(10年3月22日)で触れた東京国立博物館の展覧会について報告を。先日、朝早くに行ったのだが、すでに多くの人がいて入場するのに30分待ちだった。大きな作品から小品まで興味深い絵が数多く並んでいた。中でも動物の描き方が独特で面白かった。さて、今回は、吉本の板尾創路主演の「木下部長とボク」。
板尾創路の魅力が…
板尾は、吉本のなかでもユニークな存在だ。不思議な独特の間を持っているタレントだ。攻めるのではなく、「引きワザ」とでもいうような展開にもっていく。板尾は、NHKのケータイ大喜利の判定員や、R-1審査員もやっている。R-1のときは、つける点数の幅が大きすぎると指摘を受けていた。ちょっと変わったことをする人だ。映画の監督もやっている。そうした彼がどんな芝居をするのか、楽しみにして見た。
ところが、残念ながらかったるかった。わざとユルくつくっているのだろうが、ツボがはずれている。深夜番組らしい、はじけたところや冒険しているところがない。ありがちな会社もの、サラリーマンもののパターンを脱せていない。板尾のもつ魅力を発揮しきれていないと感じた。
それにしても吉本の芸人がたくさん出演していた。しずるにカラテカ入江、島田洋八は常連組。見た回のゲストは中田ボタンに月亭八方、桂きん枝が出ていた。エド・はるみや友近もいたな。しかし、残念ながら全体的に空回りしていた。
こういう番組をつくりたいんだ、という情熱が伝わってこず、殺風景で味がないドラマになっていた。もう少しとんがったところを見せてほしい。もっと面白くできるだろう、という可能性は感じた。(テレビウォッチ)
吉本 オールスターキャスト 深夜版