<テレビウォッチ>今日(3月25日)の「家庭の経済学」はベーシック・インカムを取り上げた。最低限の生活費を国民すべてに無条件で支給しようという発想だ。
所得税45%で財源確保
テレビ朝日の名村晃一・経済部長が先生役を務めた。様々な方式が考えられるが、その一例だとして取り上げた。ボードを使った事例は次のようなものだ。1人につき月8万円を国が支給する。たとえば、夫婦に子ども2人の4人家族の場合、年384万円の支給を受けることになる。
名村の解説では、「絵空事」ではなく、200年前から欧米を中心に議論されている。国内でも先2月の衆院予算委で議題に上り、鳩山首相が「検討されるべきだ」と答弁した。この制度を導入すれば、年金や生活保護、失業手当、扶養控除の一部などがなくなり事務手続きが不要となる。その結果、行政のスリム化が可能になる。
財源については、京都府立大の小沢修司教授の案を紹介。1人月8万で1億2000万人なら、年115兆円が必要となる。所得税を45%にすれば、同額を確保できるという。モデルケースとして、年収700万円の3人家族(夫婦と18才の子ども1人)の場合を考えると、現行では手取りが609万円となるところ、上記のようなベーシック・インカム制を導入すると、年657万の手取りとなり、増額になる。母子家庭(18才の子ども1人)で年収500万円のケースでも、年16万円増える計算になる。
生き甲斐重視へ
質問時間では、コメンテーターの鳥越俊太郎が、所得税をすべて生活費支給に回すと、道路建設などはどうするのかときいた。名村は、法人税や消費税などを使うことになると説明。漫画家やくみつるは、高い税率を避けるため、国外脱出を図る人が相当数出るだろうと疑問を呈した。また、働かなくなる人が増えるのでは、との指摘が出ると、月8万円では食べていけないので、仕事を完全に辞めるわけにはいかないと名村は応じた。仕事のあり方が、生きるためのものから生き甲斐重視へと変わると小沢教授が唱えているとも話した。
しかし、やくは「今でも好き好んでプー(太郎)やってる連中が働くようになるとは思えない」と否定的だった。鳥越も、「8万円もらって自由気ままにホームレス生活をする人が増える可能性」が気になるようだった。女優の東ちづるは、貧困はなくなる、と肯定的な面があることに触れていた。
ベーシック・インカムは、日本新党が導入を唱えたり、新書で入門書が出たりしている。ホリエモンこと堀江貴文が、ブログで肯定的に紹介して話題になったこともある。今後、議論はどういう展開をみせるだろうか。