日本政府の「水面下マグロ」作戦 その票固めと禁輸回避

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<テレビウォッチ> クロマグロの輸出禁止案は否決された。ドーハで開かれているワシントン条約締約国会議できのう(3月18日)行われた委員会採決で、賛成20、反対68、棄権30という大差だった。事前には、「危機」とまでいわれていたのに、何があった?

入念な根回し

   そもそもはモナコの提案だ。大西洋と地中海でとれたクロマグロの輸出を禁止しようというもので、「このまま獲り続ければ3年後には絶滅の恐れがある」という理由だった。これにEU、アメリカ、スイスが賛成を表明し、アジア、アフリカ諸国も同調するとみられていた。

   マグロでも最高品質のクロマグロは、世界の漁獲量の8割を日本人が食べている。今回対象の地域のものも、大半が日本へ輸出されている。これが禁止されると、漁業者にとっても死活問題だ。

   スペイン、マルタ、北アフリカ諸国などでは、漁業関係者は「もし決まったら廃業しかない」と悲観的な声が聞かれ、さらに、本来漁業資源の問題が、なぜ野生動物保護のワシントン条約の問題になるのかという不満も聞かれた。日本政府がいわばこれらをまとめて背負ったことになる。

   宮原正典・日本政府代表は、「途上国に不公平な提案だった。途上国が自分たちの問題だと考えてくれたことが大きい」と分析したが、日本政府には珍しく、入念な根回しがおこなわれたらしい。

   ドーハから池田裕行が、「日本政府は悲観的な見通しを口にしながら、水面下で相当動いていた」という。環境の問題だけに、各国も表立って反対はしにくい。そこをどう切り抜けるかだったが、質疑打ち切りを提案したのがリビアで、次にアイスランドが反対票を投じやすい「秘密投票」を提案して採択されたと、根回しの成果をほのめかした。

   正式決定は来週になるが、採決の結果に提案国のモナコも「再提出はしない」といっており、事実上決まった。

文   ヤンヤン
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