渡瀬恒彦の大熱演で考えた 夫婦の絆と独立心

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<テレビウォッチ>テレビ朝日のスペシャルドラマ「やまない雨はない」。お天気キャスターの草分けとして知られる倉嶋厚の自伝をもとに、夫婦の愛情を描いた作品だ。

笑顔を取り戻すまで

   倉嶋を演じたのは、渡瀬恒彦。その妻役は黒木瞳だった。子どもがなく、2人の絆がとても強かったこの夫婦を次から次へと病魔が襲う。倉嶋は喉頭ガンになるが、妻の看病もあり、克服する。結核にかかり、妻にうつってしまったこともある。そうこうする内に、妻のガンが発覚する。ガンは進行していて短期間で亡くなってしまう。

   倉嶋は妻の死に大きな衝撃を受け、精神的にも弱り切ってしまう。そんな中、八千草薫演じる家政婦がお手伝いとして家に出入りするようになり、やがて倉嶋は笑顔を取り戻す――という展開だった。

   特別大きな事件が起きるわけではなく、日常生活を淡々と描いている。渡瀬は大熱演だったし、八千草登場以降は芝居が一層締まった感じになった。病気の話や夫婦の苦労話などは、我々老人にとっては身につまされる内容で、フムフムと見入ってしまった。

   土曜21時からの放送で、視聴率(関東地区)は14.1%と大健闘した。こうした派手ではないドラマでも、きちんとした内容ならちゃんと見る人がいるのだ、とあらためて認識させられた。

   しみじみとした良いドラマだった。が、現実的に考えると、あまりに夫婦が互いに依存し過ぎているのは好ましいことではなさそうだ。独立心も必要だと思う。

      それぞれの 道を歩もう 老夫婦

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