<テレビウォッチ> 映画監督の北野武が3月9日、フランス芸術文化勲章の最高賞「コマンドール」を受章した。ニュースは「9日夜の授章式には本人も出席します」と。映像は昼間のものだった。
仏で映画を連続上映
北野は、1997年の「HANA-BI」でベネチア映画祭の金獅子賞など欧州でも人気。99年には、同賞の「シュバリエ」を受けてもいる。3月11日から3か月間、ポンピドー芸術文化センターで北野映画を連続上映するという、最大級の扱いだ。
9日からは自作の絵画などを展示した「ビートたけし・北野 絵描き小僧」展がカルチエ財団の美術館で開かれた。作品の一部が出たが、「蒸気機関車で動くミシン」とか、かなり奇想天外な仕掛けのあるものがいろいろ。そのオープニングでの北野節が面白かった。
「マチスとかピカソとかだれでも知っている人たちの影響を受けたわけではなく、いいなとは思ってますけど、1番色に関して影響を受けたのは、ペンキ屋であるうちのおやじだと思います」
「ウラに背景とか、オブジェがどういう意味かなど答えはないですから。大人も子どもも、ただフフフと笑うような世界で、場の雰囲気、楽しい雰囲気を感じてもらえればいいなと思って作ったわけで」
海外での人気と存在感
「いったいこの人はどういう人なんだろうと思われてもいいし、もうちょっと映画だけやれという人もいるだろうけど、自分としてはエンターテインメントの世界でいままでやってきたことをそのまま続けるべきだと思っています」
しかし、美術館からの映像の中でパリ駐在の池田裕行が、「海外での人気と存在感をあらためて示しました」と叫んだだけで、番組のコメントはゼロ。ただのニュースで通り過ぎちゃった。
この展覧会はフランス政府の5年越しの要請で実現したものだとか。ちらりと見た映像だけでも、見たいなと思うものがいくつもあった。「海外での人気と存在感」とやらが、日本人が知っている「たけし像」と乖離してはいないか。そこをきちんと伝えないと、なんかおかしなことになる。
文
ヤンヤン