自己責任論で自殺考えた 女性救ったイラクからのメール

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「小泉」時代

   で、再びイラク支援へ向けいごき出す。今度はひっそりとしかも慎重に。「あの事件の後、選択肢はこれしかなかった。生きる選択肢がイラクになった」という。

   今、高遠は2か月に1度、45万人のイラク難民が暮らすヨルダンを訪れる。日本から寄付金をもとに医薬品などの無料配布や生活相談にも応じている。この6年間で4000万円近くの寄付を集めたという。

   今2010年1月には高遠の仲介で、テロが続くイラクから2人の医師が日本の医療を学ぶためにやっていた。

   以前、高遠に取材したことがあるジャーナリストの江川紹子が番組に生出演し、そんな彼女について次のように語った。

「もともと彼女は『命』というものにこだわりたいと言っていた。それが、日本に帰ってきてバッシングを受け、自分の『命』の日々を感じた。イラクの人たちから支えられ救われたことで、生かされたものの責任を非常に感じているようです」

   高遠は、今も日本人の前で事件に対する自分の思いを語ると、ある種の怯えを感じるという。

   で、これまで「日本人と向き合わずに逃げていた」という高遠が、今年はようやく「日本の人と向き合う」気持ちになったという。

   キャスターの国谷裕子が「自己責任という言葉の響きが6年前と今では違って聞こえてくる状況にありますけど……」という問いに江川は次のようにも……

「自己責任という言葉がキーワードになりましたが、迷惑かけるなということですよね。それと同時に自己責任があまり浸透する社会は弱音も吐けないし、繋がりの薄い社会になっていくのではないかと感じますね」

   『自己責任』という言葉は、もとはリスク承知で相場商品などへ投資する場合、自ら結果責任を取ることなどに使われた。

   それが小泉政権の時代に転嫁され、独自の行動を取って迷惑をかけた人を切り捨てるため使われた。あの『小泉劇場』の時代が生んだ特有の言葉遣いなのかもしれない……

モンブラン

* NHKクローズアップ現代(2010年3月3日放送)

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