立花隆VS上杉隆 平成「検察研究」の勝者は?

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   2003年2月に創刊されたインターネット新聞『JANJAN』が、10年3月31日をもって休刊することになった。市民記者が原稿を書き、『ザ・選挙~JANJAN全国政治家データベース』など、政治関連に定評があったネットメディアがまたひとつ消えることになった。

豊田とトヨタ

   昨09年春には、私が社長を務めた市民メディア『オーマイニュース日本版』が創刊から4年弱で、休刊している。

   両方とも、スポンサーに資金援助をしてもらいながら、何とか自立していく道を模索したが、日暮れて道はるかに遠く、残念なことになってしまった。

   韓国の『オーマイニュース』にも、何度か経営危機はあったが、その都度、市民記者たちが資金的な援助をしてくれて乗り切ったと、韓国の経営者に聞いたことがある。だが、日本ではそうしたことは望むべくもないだろう。

   今日(3月4日)午後、宗像紀夫・元東京地検特捜部長と会ってきた。話は自ずと「小沢一郎幹事長対特捜部」の話になる。宗像氏は、いまの特捜部が劣化してきていると嘆き、「(小沢の捜査は)現時点では見通しを誤ったという印象。秘書を逮捕すれば証拠が出てくるに違いないという読みで着手したのでしょうが、特捜部がそんなバクチ的な捜査をしてはいけないんです」と語った。

   しかし、私も同意見だが、時期はわからないが、第二幕はあるという読みで一致した。

 

   今週号は、バンクーバーオリンピックの総集編という趣で、朝日、毎日、AERAが浅田真央を表紙にしている。二昔ほど前は、オリンピックが終わると増刊号を出し、それがかなり売れたのだが、いまは、夏のオリンピックでも売れず、日韓で共催したサッカーWCも、売れ行きは芳しくなかったため、増刊号を出すところはほとんどないようだ。

   トヨタ自動車豊田章男社長がアメリカの公聴会に出席したことに関する記事が多い。かつては大広告主だったため、トヨタ、日産批判の記事を作るときは『多少』気を遣ったものだが、いまは気を遣うほど広告が入っていないという事情もあるのか、見出しを含めて厳しい見方が多いようだ。

   短いがちょっとおもしろい記事が文春にあった。章男社長が公聴会の冒頭で、私は創業者の孫で、すべてのトヨタ車に私の名前がついていますと語ったが、これは彼の認識違いだと、ノンフィクション作家の佐藤正明氏は書いている。

   「豊田家は『とよだ』であるが、会社は『とよた』。喜一郎(トヨタ自動車創業者・筆者注)さんが、縁起をかついで『゛』を取ったのは事実だが、それだけではない。豊田英二さん(現最高顧問)は、喜一郎さん本人からこう聞いている。<世間に自動車産業は豊田家の家業でないことを知らせるため、エンブレムだけでなく、社名も濁点を取ってトヨタとしたのです>」

「巻くだけ」は口先だけ??

   同じ文春で、約半年で160万部を突破したという『バンド一本でやせる! 巻くだけダイエット』(幻冬舎)を取りあげている。

   カイロプラクターの山本千尋氏が主催するセミナーは、若い女性はもちろんメタボ男性まで押しかける社会現象になっているのだそうだ。

   この本の付録についている「ゴムバンド(骨格矯正バンド。幅12㎝、長さ1・5m)を骨盤や関節のまわりに巻くだけで、体型の崩れが解消され、新陳代謝を上げて脂肪の燃焼を促す効果があるという。

   そこで、カイロプラクティック療法振興事業協同組合の新渡英夫代表理事に聞いてみると、「はっきり言って骨盤にバンドを巻いたからといってダイエットになるということはありません」とにべもない。

   奈良県の整体師も、「骨盤が相当歪んでいる人がバンドを使用すると、歪んだまま固定する恐れがあります。(中略)骨盤は毎日自然に開いたり閉じたりするものなので、バンドを巻くことはあまり賛成できませんね」。しかし「バンドを使ってストレッチをすれば、より効果的なダイエットが期待できます」(山本氏)というのだから、巻いただけで、大メシを食らい昼寝していて痩せることはないようだ。

   朝日で、ジャーナリスト上杉隆氏が、知の巨人・立花隆氏にケンカを売っている。発端は、2月12日号で、石川知裕衆院議員の女性秘書が検察に呼ばれ、長時間の恫喝に近い取り調べを受けたと書いたことに、立花氏が、「検察憎しの立場に立つ一部マスコミにバカバカしい批判(中略)を許してしまうことになる」(『G2』ウェブ版)と書いたことへの反論だ。

   立花氏は「検察神話」を捨てきれないため、結果として、検察側の「大本営発表」に付き合ってしまっていると断じ、「知の巨人」と呼ばれる立花氏の評論迷走の原因は、端的にいえば取材不足の一言に尽きるだろうとしている。

   最後にこのような言葉を立花氏に贈っている。「<『評論家』立花隆は死んだ いま『20歳の若者』から見れば 立花隆など過去の遺物に過ぎない>」

   こうした論争は、週刊誌全体を勢いづける効果があるはずだ。現代を中心に、小沢幹事長批判を続ける立花氏と、検察批判を朝日を舞台に繰り広げる上杉氏の論争の行方はどうなるのか。次回の現代で、立花氏はこの売られたケンカを買うのか。実に興味津々である。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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