<テレビウォッチ>バンクーバーの主役たちが帰ってきた。さまざまなドラマはあったものの、大半の選手たちは、もう次のソチ五輪をにらんでの心構えを口にしていた。なかで、チームパシュートで銀を獲った3選手に、井上貴博が聞いた。
「金メダルとって…」
そのビデオで、田畑真紀(35)がカメラに向かって「みのさーん、金メダルとってきましたぁ」といってしまい、「あ、間違えた」(爆笑)。みのもんたが喜んだ。「気分は金なんだよ」。そりゃぁそうだ。100分の2秒差だもの。
井上は「橋本団長からなんか言われたんですか?」
田畑「死ぬ気で行けって。死ぬ気でいても死ねないから……」(笑い)
井上「団長、怖いんですか?」
田畑「全然怖くないです。気合いを入れていただきました」。橋本団長は、田畑と穂積雅子(23)の高校の先輩なんだそうだ。
スタートで先頭は穂積だった。穂積「始めのスピードが大事なので、ぶっ飛ばして行きました。2人はスピードがあるので任せたみたいな」
「負ける気がしなかった」
日本チームは残り800メートルで1.72秒リード。それを監督からつたえられていた。「いけるぞと思った?」
小平奈緒(23)は、「相手が長距離主体のチームなので、後半追い上げてくるだろうと予想していた」
ラスト1周でリードは1.14秒。田畑は「いけるかもしれないと思いながら、『死ぬ気でいけ』と全力で走ってました」
小平は「ゴールを駆け抜けることしか考えてなかった。勝ち負けじゃなくて」
井上「この瞬間、日本中が日本勝ったと思いましたけど」
田畑「勝ったと思いました。負ける気がしなかった」と。
しかし、勝ってなかった。みのは「いま見ても勝ってるよ」
その瞬間をナマで見ていた高畑百合子は、「すぐ後ろに橋本団長がいたんですけど、選手たちが通るとき、『オレいけ』とびっくりするような声をかけていました」
そうだよ。あのおばさんはただのおばさんじゃないんだから。画面には、リンクで見守っていた高木美帆が、ゴールの瞬間両手で顔を覆う姿が写っていた。彼女も勝ったと思ったんだろうか。これから、彼女の時代になる。