藤田まことがみせた 共演者への「必殺」ワザとは

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   <テレビウォッチ>藤田まことといえば、やはり中村主水だろう。「必殺」シリーズがテレ朝系列の朝日放送制作ということもあって、番組は、映像もたっぷり盛り込んで藤田主水を偲んだ。

仕事人

   「必殺」が始まったのは1973年。当時の山内久司プロデューサーは「高度経済成長に取り残されたサラリーマン、才能がありながら不遇をかこっているサラリーマンをキャラクターとして設定した」と振り返る。

   「昼はうだつの上がらないお役所勤め、家庭でも邪魔者扱いを受ける婿養子。しかし、もうひとつの顔は、法で裁けぬ悪を闇に葬る仕事人」(ナレーション)が主水だった。

   本人も「徹子の部屋」で「養子に行ったわけではないけど、ずーっと主水みたいに嫁と姑にいびられながらの何十年」と笑いながら話している。山崎寛代リポーターによれば、中村家の場面は、彼のアイディアを取り入れたものもあったという。

   第1作を手掛けた貞永方久監督は「藤田さんの真髄は、主役でありながら脇役の気持ちがあること」と述べる。その面倒見の良さについては、鮎川いずみ、京本政樹らの共演者が口を揃えて感謝する。

「自分と相通ずる…」

   取材で会ったと言う木場弘子は「苦労したことを笑い飛ばす明るさを見習わなきゃいけないと感銘を受けた。私のような者を緊張させないような温かさ、人間の幅を感じさせてくれた」と懐かしむ。

   大谷昭宏は、藤田が戦争で兄を失くしたこと、バブルが弾けて苦労したことなどが役柄に生きていたとし、「この世代の日本人、家族が経験したことが藤田さんの中に凝縮されていた。皆さんが自分と相通ずるところがあると感じる役者だった」と語る。

   「てなもんや三度笠」-あんかけの時次郎、「京都殺人案内」-音川音次郎、「はぐれ刑事純情派」-安浦吉之助、「剣客商売」-秋山小兵衛と、シリーズ化された作品に多く主演した。が、中村主水の右に出るものはないだろう。藤田以外の役者はイメージできない。

文   アレマ| 似顔絵 池田マコト
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