今週も小沢一郎幹事長と鳩山由紀夫首相関連の記事が溢れているが、どれも同工異曲で、是非にとお奨めする記事はそれほど多くない。
現代の宗像紀夫・元東京地検特捜部長の連載「特捜秘録」は、ややかったるい内容だが、所々、見るべき箇所がある。
淑女にしのびよる意外な危険
特捜部の捜査は、供述と物的証拠を積み重ね、絶対間違いないというストーリーを描きながら捜査展開をする。それが特捜部の伝統だといいきり、こう書く。「近年の捜査を見ると、その伝統が正しく受け継がれているのか、少し不安に思うこともありますね」。いうまでもなく、今回の小沢幹事長の件で、古巣・特捜部への批判である。描いていたストーリーに狂いが生じたということだろう。
ポストは「『小沢逮捕』に踊ったマスコミ『赤っ恥ランク』を検証する」のなかで、共同、日経、読売が伝えた「石川知裕代議士の手帳メモ誤報(石川氏の手帳に、水谷建設幹部から5000万円を渡された期日が2004年10月15日と書いてあると報じたが、日付が誤っていた)が、赤っ恥記事のトップだとする。リークを無邪気に信じ、検証もなしに垂れ流したからだ。
魚住昭氏は、大本営発表を何の疑いもなく報じていた戦時中の大新聞と変わらないと批判している。
記者クラブにあぐらをかき、権力にすり寄り、発表ものやリーク情報を、十分な検証もなしに流し続けるのが「新聞の役割」と錯覚している、多くの新聞記者の耳に、こうした批判が届くことはないのだろうな。
ちょっと気になる記事は、朝日の「淑女のお尻の洗いすぎは膣内の悪玉菌を増やす!?」。国立国際医療センター戸山病院産婦人科の荻野満春医師が、「習慣的に温水洗浄便座を使用している人は、使用していない人に比べ、膣内の善玉菌である乳酸菌が著しく消失し、腸内細菌などによる汚染が目立った。そして、細菌性膣症にかかりやすいことも明白だった」というのだ。早産率も高める要因にもなるという。お尻の洗いすぎにご注意を。
スーパー歌舞伎で知られる市川猿之助(70)が、愛妻の藤間紫を(享年85歳)を失って一周忌も迎えていないのに、40代前半の女性との「老いらくの恋」が発覚したと、文春がスクープ。
年上の恋女房・藤間紫は藤間勘十郎の女房だった。猿之助も25歳の時、女優の浜木綿子と結婚したが、3年で破局。その後、長らく「事実婚」を続け、猿之助60歳、紫76歳のときに、ようやく入籍した。
作家の渡辺淳一さんにいわせれば、どんなに愛している女がいても、男というのは二兎も三兎も追いかけたくなる動物なんだそうだ。
ましてや、相手が亡くなっていれば、他の女を好きになることは自然なのだろう。老いらくの恋か、懐かしい言葉だね。
新聞・テレビと生き残り策
猿之助さんが「現役」かどうかはわからないが、現代の「SEXが上手な人に学ぶ」によれば、女性を喜ばすには、テクニックではなく、「尋ねること。それに尽きます。SEXにおいて、相手と話すことはとても大事。しゃべりながらできるのは人間だけだし、(中略)ごく単純に『どこがいいの?』『ここはどう?』と聞けばいい」(加藤鷹氏)
そういえば、渡辺さんも、遮二無二いたすのではなく、相手の体に触れて、手で撫でてあげるだけで、女は喜ぶものだといっていたな。
今週のマスコミ人必読は、東洋経済の「新聞・テレビ断末魔」。新聞が部数・広告減に悩んでいるのは世界共通。テレビの広告減も深刻だ。
アメリカの有力紙が、ニュースの有料化に踏み切ろうとしているようだが、先行きは明るいとはいえない。日経が3月に出す「日経新聞電子版」が注目を集めているが、初年度10万人の会員を獲得するのは、そう簡単なものではないはずだ。
『FREE』の著者クリス・アンダーソン氏へのインタビューで、フリーミアム(人気のあるものを無料にして、ニッチなものを有料にする)でメディアは生き残っていけるかと聞いているが、にべもない答えが返ってくる。「トップ2に入っていないような新聞や、地域紙のような新聞にはフリーミアムモデルで成功するのは難しいかもしれない。では、どんなモデルが向いているのか――。今すぐには頭に浮かんでこない」
こうした難問に取り組んで、成功しているのが、私が連載しているJ-CASTニュースだが、蜷川真夫社長が『ネットの炎上力』(文春新書)を上梓され、2010年2月20日に発売される。
蜷川さんは元朝日新聞の敏腕記者で「AREA」編集長も経験している。1997年に、ネットメディアをつくりたいという思いが強く、朝日を辞めて独立する。
当時、私は、講談社からインターネット・マガジン『Web現代』を創刊しようと考えていて、蜷川さんから様々なアドバイスをいただいた。この本では、ネットメディア成功の秘訣が惜しげもなく披瀝されている。私は、ブログとニュースを使って急成長した「ハフィントン・ポスト」の例を読んで、今すぐにも手がけたいと思った。これからのメディアの形を考えている人にとって必読の書である。