<テレビウォッチ> 「わたしが提案するマニフェストは――おとな手当を支給します」。小さな国会の壇上でこう訴えるのは、漫画家やくみつる。ワイドショーなどのテレビではお馴染みだが、ここでは意外というべきか、新顔である。
「倹約は敵だ」
あと数か月寝ると、2万6000円(さしあたり1万3000円?)の子ども手当支給がはじまる予定だが、子どものいないやくにしてみれば不公平感もあり、大人にも手当が必要だと考えている。そこで、子ども手当に加えて大人にも月5000円の手当を出そうというのだ。
これを聞いて、太田光総理(爆笑問題)は「いーねー」と相槌を打つ。そしてやくの話にウンウンうなづく。これまで議長にもたびたび注意されてきたことだが、他人の提出するマニフェストには相変わらず無関心そうなソーリである。
さて、「思い出してください、バブルのころ」とやくは過去を振り返る。「消費が楽しくてしょうがなかった。バブルの再来を狙う」とし、「倹約は敵だっ!!」とのスローガンを掲げた。
手当の費用は3.3兆円。子ども手当が5兆円超なので、それより安い。これらは(旧)特法などの天下り団体への税金を減らすことで十分捻出可能だという。しかし、民主党代議士をはじめとする政治家軍団はシブい顔だ。
田中「リアルに消費する額」
子供は国のお宝であり、「若い人が減れば、日本は収縮する。わたしたちの成長戦略は人口を増やすこと」(渡辺周総務副大臣)なんである。しかも、子供は自分で働けないので「子ども手当」を出す名目が立つが、大人はテメエで稼ぐのが本道だろう――といったようなことである。
一方のマニフェスト賛成派は、手当たり次第にかき集めてきたようなタレント軍団が大半だ。フリーアナウンサー・富永美樹が「職があることは大前提だけど、おカネを使うのは心のゆとり。給料にプラスしてもらえるおカネがあると、消費しようという思いになる」と言えば、ソーリの秘書の田中裕二(爆笑問題)も「5000円というのがいい。やめていた新聞やタバコを買ったり、1番リアルに消費する額じゃないか」と、消費効果をアピールする。
「これは悪ですよ。労働もなしにおカネをもらうなんて」と、いつものように腹立て、角立てる政治コメンテーター・金美齢。やくは「まさに『悪銭身につかず』なんですよ。だから消費に回る」と切り返す。ソーリの掩護射撃はほとんどなかったが、やくが奮闘したおかげか、マニフェストは逆転で可決された。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)